「審判が信用できないからビデオ判定を入れる」と思っているのは、本当に愚かな人だと思う。
「ビデオ判定」は、映像技術が高度かつ安価で使えるようになって普及した。MLBが、マイナーリーグでの試行錯誤を経て導入を決めたわけだ。

しかしビデオ判定の導入は「審判のジャッジが信用できない」からではない。時代に合わせて「審判のジャッジにより信頼性を持たせる」ことが目的だ。

MLBの場合、本拠地球場以外で試合をすることはほとんどない。30球団の本拠地球場には同じ規格の画像撮影システムが導入され、その画像はニューヨークに設けられたスタジオに送信され、スタジオに待機するビデオ判定の専門の審判員が、現場の審判と協議して判断をする。

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大事なことは、ビデオ判定を導入しても「最終的なジャッジをするのは審判だ」ということだ。
ビデオ判定は「審判のジャッジの確認」のために行うのであり、審判の「過ち」を指摘するためではない。

ビデオ判定はNPBでも導入されているが、こちらは放送局のテレビカメラの映像を利用する。NPB1軍の全公式戦がテレビ中継されるようになったことで、全試合でのビデオ判定が可能になった。NPBでの試合でも「最終判断は審判が行う」ことになっている。
ビデオ判定が導入されてから後も、最終のジャッジは審判が行っている。
その判断基準は
「明らかに審判のジャッジが間違っている」と判断されるときだけ判定を覆すが「微妙なケース、どちらとも取れるケースでは、審判の判断を支持する」となっている。

馬鹿なファンは「審判に制裁を加えるためにビデオ判定をする」かのように思っているが、そうではないのだ。

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さて、高校野球で「ビデオ判定」をするとすれば、都道府県の公式戦を行う球場に、ビデオ機器を導入することになる。高野連にそんな資金はないから、放送局のカメラを利用するしかないが、ローカル局のカメラは台数が少ないし、スポーツ専門のカメラスタッフではないから技術も低い。NHKの地方局のカメラワークはマシだろうが、その費用負担をする経済力は高野連にはない。

「準決勝以上に限定してビデオ判定を」という声もあるが、高校野球は教育の一環であり、1回戦ボーイの弱小校も、甲子園出場校も「試合の価値は同じ」である。メジャーリーグとマイナーリーグのような差があるわけではない。
導入するなら1回戦からすべて行うべきである。

高校野球は「2時間試合」を前提としているが、ビデオ判定によって試合時間が延びる可能性がある。
その上に、ビデオ判定を導入しても「微妙な判定」は無くなるわけではない。審判の最終判断に疑念がでる余地は残るのだ。

審判の判断に文句を言う低次元の連中は、ビデオ判定を導入しても文句を言うのだ。その手のファンは、どこまで行っても「低次元」なのだ。


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NOWAR



先発全員奪三振達成投手/1994~2023