甲子園は開幕試合の土浦日大(茨城)―上田西(長野)戦で足がつる症状を見せた選手が3人出た。
今年の夏は尋常ではないのだ。いくら温暖化が進んだとはいえ、日本列島が耐え難い酷暑になるのは、例年7月末から8月に差し掛かってだった。しかし今年は7月上旬から猛暑が続いた。7月の月間平均気温は日本各地で過去最高を記録した。
国連も「沸騰」と言う過激な言葉を使って、今年の夏の異状さに警鐘を鳴らした。

しかし、そんな酷暑でも、日本高野連は大きな枠組みを変えることなく都道府県選手権大会を実施した。その結果として、非常に多くの試合で選手や監督、コーチ、応援団、チアリーダー、観客などに熱中症の初期症状である「足がつる=熱けいれん」症状を訴えた。7月27日の神奈川県大会決勝では、球審の足がつり、交代した。そういう事例が続出している。

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これはもはや異常事態と言える。まともな組織であれば、大会の延期、中止や、少なくとも試合時間をずらすなどの手を打つべきだった。しかし、日本高野連が行ったのは5回に10分間の給水タイムをとることを決めただけだ。

事の深刻さを日本高野連が認識していないわけではない。7月に日本高野連に質問状を送ったが、彼らは現状を十分に憂慮していた。
しかし、彼らは思い切った手を打つことはできなかった。夏の甲子園のスケジュールは、完全パッケージになっている。日程を動かすことも、会場を変更することも全くできない。また、全国の代表校の予定も今更動かすことができない。
気温が何度になろうとも、足がつる人間が何人出ようとも、今のスケジュールを変更することはできないのだ。

多くの人が指摘するように、この事態を変えるのはフェイタル・アクシデント=致命的な事故、だけだろう。死者や重篤な熱中症患者が出て、初めて見直しの動きが起こるはずだ。

そういう事態になれば、恐らく「甲子園をこのままやっていいのか?」と言う声は、雑誌やネットメディアが主導するだろう。今でも「不要不急の外出を控えるように訴えるテレビで野球中継をしている」ことが問題視されているが、この声にSNSなどで世間が同調し、甲子園見直しに機運が起こるだろう。

例によって新聞やテレビメディアは腰が引けている。これまでさんざん「汗と涙の感動のドラマ」を喧伝して商売してきた手前、手のひら返しで「甲子園見直しすべき」とは言えないのだ。ジャニーズの案件と全く同じ構図だ。しかし世間の声が大きくなるとともに、新聞、テレビもその方向に舵を切らざるを得なくなる。

今年は猛暑の特異年ではある。来年は少しマシになる可能性はあるだろう。しかし地球温暖化はとまらないから、こうした猛暑が「平年」になっていくのも間違いないところだ。
フェイタル・アクシデントを望んでいるわけではないが、これ以上被害が大きくなる前に、甲子園を頂点とする高校野球(そしておそらくは夏のインターハイも)の仕組みを見直す時期が来ている。

今日の関西地方は曇りで、湿度は高井が熱中症のリスクは低くなっている。しかし今夏の猛暑はこれからが本番だ。

日本高野連は「これ以上何も起こりませんように」とお祈りをしているだろうが、その心細い姿は与謝蕪村が詠んだ「五月雨や 大河の前に 家二軒」を思わせる。


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先発全員奪三振達成投手/1994~2023