90歳になる私の母はプロ野球もWBCも一切見ないが、高校野球だけは熱心に見ている。電話口で「甲子園はやっぱり面白い」などと言う。私が「甲子園、高校野球」に否定的な記事ばかり書いていることは知っていると思うのだが、その矛盾は気にしないのだ。
関西では、今も朝日放送が「甲子園の熱戦」を連日取り上げている。この時期「羽鳥慎一モーニングショー」は見ることができなくなる。高校野球の試合を放映するからだ。

しかしそれ以後の放送は全部高校野球で埋まるわけではない。大下容子ワイドスクランブルはやっているし、徹子の部屋もそのままだ。視聴率が取れる番組は、そっちを優先するのだ。
そのかわりサンテレビジョンなど関西のローカル局が中継をスイッチする。制作費は全部朝日放送持ちで、この時間帯、通販番組流しっぱなしのローカル局が放送だけを受け持つのだ。
NHKが地上波やEテレなどでぶっ通しで中継するから、いずれにせよ視聴率は取れないはずだが、こういうかたちで「メンツ」を保っている。

23317999_s


朝日放送だけでなく、在阪局も、そしてキー局も、開催期間中は高校野球をスポーツニュースのメインコンテンツとして取り上げる。だから「酷暑の中での試合」も「投手の酷使」も「勝利至上主義」も大きくは取り上げない。ネガティブ情報は慎重に取り除かれるのだ。
だからうちの母親みたいな年寄りは、近年、高校野球が問題視されていることに気が付かないのだ。

松谷創一郎さんが高校野球を「残酷ショー」と言ったのはもう9年も前のことだ。
確かにあれから「7日で500球」の球数制限が導入されたし、日程は多少緩くはなった。今年からはタイブレークも導入された。

しかしそうした糊塗策ではなく、高校野球の本質である「トーナメント」と「勝利至上主義」をなんとかしないと、高校野球はどんどんシュリンクしていく。
地球温暖化は9年前と比べても、深刻さを増している。しかし、それでも日本の高校野球、そして日本のスポーツ界は抜本的な改革に踏み出せない。

なぜなら「今のこの体制」でご飯を食べている人が、たくさんいるから。彼らは「俺たちが定年退職するまで、何とか今のままでいてくれ」と思っている。「改革はそのあと、なんとでもしてくれていいから」。
今の日本の縮図のようなものである。そして、そういう「定年待ち族」も次々受け継がれるから、もうどうすることもできないところまで追い詰められてから、高校野球は変化する、あるいは崩壊するのだと思う。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!



NOWAR



先発全員奪三振達成投手/1994~2023