「ヤクルトの投手はぶつけに行こうとしている」とかベンチから「当てろ」という指示が出ている。みたいなことを言う人がいるが、それは「昭和頭」からアップデートできていない人か、ヤクザまがいだ。
昔のプロ野球選手は、チームへの忠誠心が極めて高かった。その球団で一生面倒を見てもらうことを前提にして、球団に忠誠心を抱いていた。プライベートでもチームメイトとつるんで飲みに行ったり、ゴルフに行ったりする。チームは「家族」という認識が強かったのだ。当時の選手は、パンチパーマでキンキラのチェーンをひけらかしていた。ヤクザみたいだったが、実際に一部の選手は裏社会の人間ともつながっていた。野球選手は「個人事業主」のはずだが、終身雇用のサラリーマン、さらには一生足抜けできないヤクザのようなメンタリティを持っていたのだ。他球団に移籍するのは「問題を起こした奴」「裏切者」という感覚だ。

その当時に現役だった野球解説者は、今の野球選手が他チームの選手と自主トレをしたり、同じジムに通ったりするのは「ライバルチームの選手に情がうつるからやっちゃだめだよ」と言ったりするのだ。「昔はよそのチームの選手とは口も利かなかったもんだ」と言ったりもした。

しかし今、その状況は大きく変わった。大物選手がチームのことなる若手選手を誘って自主トレをするのは当たり前になった。投手が他球団の若手に変化球の握りを教えることさえある。トレーニング方法を教え合ったりもする。
「球団に所属する選手」というより「同じ野球をする仲間」という認識が一般的になったのだ。

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この大変化の背景には、一つは「NPB選手のMLB移籍」が一般化したことが大きい。MLBでは一つの球団でキャリアを終えるフランチャイズプレイヤーは、極めて少ない。大部分の選手が複数の球団を経験している。どの球団にも顔見知りの選手がいる。プライベートでの交流もあり、仲間意識があるのだ。
もう一つは2004年の「球界再編」だ。古田敦也選手会長のもと、プロ野球選手がチームを超えて団結して、1リーグ化を阻止した。この時に抱いた「仲間意識」がその後も残ったのではないか。

昔の「ヤクザ的」な野球では、「あいつは生意気だからぶつけろ」みたいな指示もありえたし、それで相手選手が怪我をすれば「儲けもの」という発想もあった。
しかし今は、みんなが「野球をする仲間」であり、オフに交流があったりもする。選手にぶつけて怪我をさせるのは「仲間を傷つける行為」であり、ありえない。昭和頭のコーチの中には、そういう発想の人もいるかもしれないが、選手はそれを受け付けない。

こういう意識が通底したから、WBC日本代表は、チーム、リーグを超えて団結し、短い時間に素晴らしいチームワークを作ることができたのだ。

今のプロ野球では「わざとぶつける」文化は存在しない。騒いでいるのは、それを知らない低レベルのファン、何か言いがかりをつけて騒ぎたいくだらない連中だけである。



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先発全員奪三振達成投手/1994~2023