札幌ドームを擁護する札幌市などの人々が、よく口にするのが「日本ハム球団は札幌ドームで商売をしていたじゃないか」ということだ。
確かに伊藤ハム製のホットドッグも販売してはいたが、日本ハム製品もたくさん販売していた。また、日本ハム球団のスポンサーが広告看板にも出稿していた。
「だから、他の球団と同様、日本ハムも本拠地札幌ドームで商売をしていたんだ」と。実は札幌市のHPにもそういう趣旨のことが書かれている。
しかしこれしきのことで、札幌ドームに問題なしと思い込んでしまうのは、相当な情報弱者ではないかと思う。

一番のポイントは、札幌ドームと北海道日本ハムファイターズは「指定管理者」の契約をしていなかったことだ。

従来、税金を使って建てられた施設の管理、運営をする「指定管理者」は、公的機関や第3セクターなどでなければなることができなかったが、小泉純一郎政権の「骨太の改革」によって企業など私的な事業所でもなることができるようになった。

この改革を受けて、千葉市が所有する千葉マリンスタジアムは、従来、第3セクターの「株式会社千葉マリンスタジアム」が指定管理者だったが、2006年から千葉ロッテマリーンズが指定管理者になったのだ。施設と指定管理者の契約は、個々に違うが、千葉マリンスタジアムの場合、千葉市側が球団に「指定管理に関わる諸費用、委託費用」を一切支払わない代わりに、球団側が、球場での商売をすべて請け負う形になっている。広告看板の販売も、飲食などの物販も全部、球団側が独自の判断で行って、その収益はすべて球団に入っている。端的に言えば球団が販売主体になっているのだ。
これによって千葉ロッテマリーンズの経営状態は飛躍的に改善された。

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千葉市は、マリーンズをこういう形の「指定管理者」にした理由として

1指定管理者とプロ野球興行主の両面を持つことから、市民が利用する市民球場と市民が観て楽しむことができるプロ野球のフランチャイズ球場の両立を図り、円滑な調整ができる。
2プロ野球開催時には興行主の視点からも球場周辺を含め、試合前のイベント、飲食物販事業を効果的に展開することができ、千葉マリンスタジアムの賑わいづくりに大きく貢献することができる。
3利用料金収入および自主事業収入により、指定管理業務の運営費用を賄っており、市の委託料が発生しない。


と明記している。今、マツダスタジアム(広島市民球場)や楽天モバイルパーク宮城(県営宮城球場)も同様に球団が指定管理者や運営管理者になって、球場でのビジネスを球団が主体で行っている。

しかし札幌ドームは、日本ハムを指定管理者にしなかった。コンサドーレ札幌も同様だ。球団使用料を支払わせたうえで、球場内の商売も自由にさせなかった。

確かに球場内に日本ハムがとってきたスポンサーの看板もあったし、日本ハム商品も販売されていたが、これらは日本ハム球団が札幌ドームから看板の広告掲載権や、商品販売の権利を買って、商売していたのだ。当然、マージンが札幌ドーム側にわたっていたし、自由に看板を売ったり、物販ビジネスをすることもできなかった。要するに札幌ドームが販売主体で、日本ハム球団は「下請け」だったのだ。
もちろん札幌ドームが別の業者に委託した看板や物販もあったから「伊藤ハムのホットドッグ」の話が出てくるのだ。

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第3セクターの札幌ドームには、看板販売や物販の専門家がたくさんいたわけではない。自分たちでやるよりも「店子」である球団の方が商売が得意だから、そっちに委託はしていたが、「利益」はとっていたのだ。球場使用料に加えて、そういうマージンまで支払っていたのだから、日本ハムにとってはたまらない状況だったのだ。

日本ハム球団が北広島に移転して、札幌ドームの大型の広告看板が一斉になくなったが、なくなった分は日本ハムが札幌ドームから買い取ってスポンサーに販売していた広告なのだ。
札幌ドームに商売の才覚があれば、このスペースを販売すればいいのだが、それも難しいようだ。

日本ハム球団は何度も「指定管理者にしてほしい」という要請を出していたが、球場運営の主導権を手放したくない札幌ドーム側は首を縦に振らなかった。今回の日本ハムの札幌ドームからの移転劇の「肝」はそこにあるのだ。
観客動員が厳しくなり、選手の年俸も高騰する中、収益性が上がる見込みがない札幌ドームでのビジネスに限界を感じた日本ハムが、グループを上げて北広島に新球場、そして壮大なボールパークを建設することにしたのだ。
北広島市は、インフラ整備費を負担し、土地賃貸費を無料にし、球場その他の公園施設に対する固定資産税と都市計画税を10年間免除した。最大限の支援を約束したのだ。

北広島市は地価が急上昇した。また人口の増加、商業施設の進出など、大きな動きが始まっている。そのチャンスを逸した札幌市の愚かさが、ここでも際立っているわけだ。

札幌ドーム、札幌市の立場を擁護する人は、このことを理解したうえでモノを言ってほしいと思う。


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