10月9日のオリックス対ソフトバンク戦、ソフトバンクの戦い方についてかなりの批判が出ている。
今年の福岡ソフトバンクホークスを一言で言えば「普通のチームだった」ということになるだろう。
9日の最終戦、事前の観測では10月2日に16勝目を挙げた山本由伸が投げるのではないかと言われていた。
ソフトバンクは有原航平が投げるのが既定路線だった。有原と山本は今季、先発で4回対戦して有原の3勝1敗、無双状態の山本由伸にとって唯一の「苦手」ではあった。

しかしオリックスは山本を温存し、未勝利の曽谷を上げた。有原と曽谷では格が違いすぎる。曽谷は前回登板では与四球、被安打で5回自責点3で降板していた。

しかしこの日の曽谷は、球速は151㎞/hながら回転の良い速球とスライダーのコンビネーションが抜群で、首位打者、本塁打、打点王がかかる近藤健介や打点王の可能性がある柳田悠岐なども寄せ付けなかった。

有原と言う投手は今季40失点したが、そのうち16点を1回に失っている。立ち上がりが弱いのだ。逆に言えば立ち上がりを切り抜ければあとはスムースに投げる投手だ。

果たして、オリックス打線は1回に有原を攻略して杉本の内野安打で先制する。

以後の展開、ソフトバンクは近藤が何とか粘ろうとしているが、他の打者は実に淡泊だった。新人の曽谷は6回をわずか80球、被安打1で投げて降板したのだ。

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工藤監督時代のホークスは、柳田や松田宣浩などの中軸だけでなく、1番から9番までが「点を取る」という意識でまとまっていたように思う。私は2019、2020年の日本シリーズで巨人を2年連続で4立したのを見たが、打線は実に能動的で、どこからでも点を取ってやると言う「意識」を感じさせた。

しかし、今季のソフトバンクはそういう意識があるのか、と思わせる場面をたびたび見た。「ここぞ」というところで打者が粘らないのだ。
この日の試合でいえば、6回、先頭の周東の粘りにはそうした「気持ち」をみたが、あとは本当にあっさりしたものだった。

そういう「普通の気分」の間隙を衝かれる形で6回には若月に反対方向に痛恨の一発を打たれた。

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で、7回に和田毅が上がったのだ。事情は分からないではない。和田は10月3日の楽天戦で勝ち星がついたものの6回1死で降板している。あと1死で100イニングに到達する。
この試合後、藤本監督は和田を降ろした言い訳をしていたが、その埋め合わせをこともあろうにこの試合の7回に持ってきたのだ。

「何や、こんなとこで和田か?」とオリックス側は思った。先頭の宗は遠慮なく和田の球を叩いて二塁打にする。次打者安達は走者を進める一ゴロで、和田はめでたく100イニングに到達して降板したが、続く藤井皓哉が走者を出して、決定的な2点が入った。

結局、このぬるさ、緩さは「藤本博史」という指揮官に帰結するのではないか?この試合で勝つか負けるかは、チームが最大3試合の「興行権」を得るかどうかという大きな分岐点だった。敵地でやるのと本拠地でやるのでは、勝敗が大きく異なるのが常である。

藤本博史という野球選手は1988年の「南海最後の日」でもグランドにいた。当時は男前で鳴らしたが、成績はさほどでもなかった。
残念なことに強いソフトバンクの幕僚でいながら、その厳しさを身にまとっていないのではないかと思えた。

まだわからないが、昨日はロッテが冷静だが理にかなった試合運びで、必死に食い下がる楽天を突き放して2位、主催試合の権利も手にした。
この「必死のロッテ」と「緩いソフトバンク」では、戦力以外に大きな差があるのではないか。エース有原を負け戦で使ったハンデもあり、相当厳しいのではないか。


オリックスはCSファイナルの相手は、明らかに「ソフトバンクの方がいい」と思っているはずだ。CSから佐々木朗希が出てくる可能性もあるロッテの方が恐ろしいだろう。

ペナントレースではオリックス対ソフトバンクは13勝11敗1分、オリックス対ロッテは15勝8敗2分だが「気持ちの差」を考えれば、ロッテの方が手ごわい挑戦者なのは間違いないように思う。


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