カタログハウスが大人気だったのは、今から20年くらい前だろうか?ネットが十分に普及していない時代に、テレビ通販などとは一線を画した独自の方向性で、健康志向、ナチュラル至高、意識高い系の消費者の大きな支持を得た。
ネット社会全盛となってからも、ポジションを得てきた。
プラットフォームを整備して、そこに出品した商品の自由競争をさせて利潤を得ると言うビジネスモデルではなく、自分たちで見極めたポリシーのある商品を売ると言うスタンスが、一定の消費者の信頼を得てきたのだ。

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なんとなく花森安治の『暮しの手帖』の実戦版みたいなイメージもあるのだが。

このあたり創業者の斉藤駿の姿勢が今も貫かれている。斉藤駿は社会党支持者だったが「通販生活」にも「サヨク」の臭いが漂っている。
反原発、憲法九条堅持、日本の武装化に反対するなど、そのスタンスははっきりしていた。
ということは「反米」的な政治姿勢のはずなのだが、それを言うと日本経済では生きていけないから、そこらへんははっきりさせていない。

しかし、この間、こんな表紙の「通販生活」を発行した。

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表紙にはこう書かれている。

プーチンの侵略に断じて屈しないウクライナの人びと。がんばれ、がんばれ、がんばれ。守れ、守れ、守れ。殺せ、殺せ、殺せ。殺されろ、殺されろ、殺されろ。人間のケンカは「守れ」が「殺し合い」になってしまうのか。ボクたちのケンカはせいぜい怪我くらいで停戦するけど。見習ってください。停戦してください。

侵略に抗い続けるウクライナに対して非難はできないから「がんばれ」と書いているが、要するにこれ以上やってもロシアの侵攻で死者が増えるだけだから、停戦しようと言いたいわけだ。

「通販生活」が言いたいのは、ウクライナ侵攻は「ロシアとアメリカの代理戦争」であり、ウクライナはアメリカに利用されているのだから、戦いをやめなさいということだ。

昭和の左翼は「反米」に凝り固まっていた。アメリカ帝国主義が諸悪の根源であり、原発や核もアメリカにこそ責任がある。
日本はアメリカの核の傘から逃れて、中立になって、世界平和に尽くすべきだと。もっと言えば、ソ連や中国などとも連携すべきだと。日本の左翼は、社会主義が崩壊するまではソビエトや中国を支持してもいたのだ。

しかしロシアの侵攻を押し戻すことをせずに、今、停戦すれば、ウクライナは多くの国民を戦争で失った上に、領土も、おそらくは国家の主権も失ってしまう。平たく言えばカタログハウスは「それよりも世界の平和が大事でしょう」と言っているわけだ。

鳥越俊太郎なども同じ意見だ。たとえば山本太郎のれいわ新選組などもこれに賛同するだろう。ロシア利権に首まで浸かった鈴木宗男は、180度違うスタンスだが「よく言った」というのではないか?

しかし、カタログハウスの論法でいけば、例えば日本が中国の侵略を受けて、沖縄や北海道を奪われたとしても、それを取り返すためにアメリカや西側諸国と組んで反撃するのではなく「領土はあきらめて停戦してください」ということになりはしないか?

今の世界は「停戦する方が平和主義者、停戦すれば世界が支持してくれる」そんな甘っちょろい世界ではなくなっている。
モノの道理や社会正義を弁えない、民主主義も人権も言論の自由もない、権威主義的国家、独裁国家が、先進国に対してあからさまな敵意をむき出しにしているのだ。
こんな世の中では、いろいろ問題はあるにせよ「民主主義」が一定程度守られていて、言論の自由もあるアメリカや西欧の国が、彼らの侵攻を食い止め、権力、暴力による世界支配は不可能であることを、権威主義者に示し続ける必要があるのではないか。

イスラエルへの熱狂的な支持を見ていると、アメリカも覇権主義であるとは思うが、それでもロシアや中国よりは、はるかにましな国だ。日本はその体制について、出来るだけのことをするしかないのではないか?

そもそもカタログによる通信販売は、建国前のアメリカで始まったとされる。「通販生活」は極めてアメリカ的なビジネスモデルで伸びてきたのだ。通販だけでなく、ほとんどのマーケティングはアメリカが発祥だ。なぜなら「自由競争」で「市場の健全性」が保たれてきたからだ。

それを考えれば、昭和サヨク感漂うこの表紙は、違和感しかない。


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