大分寒くなってきたが、それでも球場ではビールを飲みたい。京セラドームのビールは一杯800円だが、甲子園は750円、東京ドームは900円だ、なぜか!といきり立つかもしれないが、カップの大きさが違うのだ。
ビールの売り子は通る道が決まっている。自分の持ち場の一番下段に降り立つと、さっと手をあげる。この手に応じて手を上げて呼ぶのが本寸法だ。
通路を急ぎ足で歩いているときに呼び止めるのは、出来ればやめた方がいい。手を上げていないとき、急ぎ足のときは、タンクのビールが空になって、交換のためにバックヤードに向かっているときが多いのだ。目と目が合って近寄ってくるようなのが、一番よろしい。

売り子にも習熟度の差がある。カップに泡をいっぱい貯めている売り子は、ビールを注ぐ技術がやや未熟で、泡がたくさん出てしまうので、余分の泡をそのカップにこぼすのだ。こういう売り子の注ぐビールはやや気が抜けていることがある。
手をあげるとその瞬間からカップにビールを注ぎ始めて、近づくと同時に手渡しをしてさっとお金を支払う、みたいなのがよろしい。
ビールの売り子には「お得意さん」がいる。毎回5杯、10杯と頼む人だ。たいてい50歳以上のおじさんで、中には「野球そっちのけ」でビールを頼んでいる人もいる。そういう人は野球はあまり詳しくない。売り子に取材をすると、プライベートについていろいろ聞いてきたりするのもいるそうだが、賢い売り子はぴしゃっとそういうのをシャットダウンしている。
球場では売店でもビールを売っている。本来売り子の人件費の分、安くなっていそうだが、価格は同じだ。そうでないと売り子のビールが売れないからだ。
そういうビールを飲むのもいいが、普通の店なら500円以下の生ビールを800円も出して買うのは、間抜けな感じもする。
まだるっこしいかもしれないが、売り子から買う方が良いと思う。

ビールのカップを片手に持って、もう一方に手にチケットをもって、席をうろうろ探しているお客がいるが、これも間抜けだ。ちょっとこぼして他のお客に謝ったり、間違った席について、またあたふたと立って出ていくのも、格好の良いものではない。
長い列の客席の中央当たりのお客がビールを頼むと、売り子がお願いしますと言って、端のお客にビールを託すことがある。お客は素直にそれに応じて、ビールを注文したお客に渡す。すると注文したお客はお金をわたす。仲介者はそれをそのまま売り子に渡す。ときにはお釣りがまたリレーで手渡されたりする。縁もゆかりもない人であってもこの「ビールのリレー」は、快く引き受けるものだ。間で猫ババする人も、仲介手数料を要求する人も皆無だ。私はこれを「スタジアムのジャスティス」とひそかに言っている。同じ野球を見る仲間、そしてビールを飲む仲間は、みんな同志なのだ。

さて、こうして手に入れたビールをどのように飲むべきか。私は躊躇なくぐいっと半分くらいまで飲み干すべきだと思う。勢いがつきすぎて涙目になったりするが、それくらいの勢いで飲まないと、球場に来た気がしない。
残り少ない預金通帳を気にするように、ちびちび飲んでいては、野球観戦の味わいも薄れてしまう。ま、ひとそれぞれだが、私はそう思っている。
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1972年外木場義郎、全登板成績【3度目の無安打試合達成】
通路を急ぎ足で歩いているときに呼び止めるのは、出来ればやめた方がいい。手を上げていないとき、急ぎ足のときは、タンクのビールが空になって、交換のためにバックヤードに向かっているときが多いのだ。目と目が合って近寄ってくるようなのが、一番よろしい。

売り子にも習熟度の差がある。カップに泡をいっぱい貯めている売り子は、ビールを注ぐ技術がやや未熟で、泡がたくさん出てしまうので、余分の泡をそのカップにこぼすのだ。こういう売り子の注ぐビールはやや気が抜けていることがある。
手をあげるとその瞬間からカップにビールを注ぎ始めて、近づくと同時に手渡しをしてさっとお金を支払う、みたいなのがよろしい。
ビールの売り子には「お得意さん」がいる。毎回5杯、10杯と頼む人だ。たいてい50歳以上のおじさんで、中には「野球そっちのけ」でビールを頼んでいる人もいる。そういう人は野球はあまり詳しくない。売り子に取材をすると、プライベートについていろいろ聞いてきたりするのもいるそうだが、賢い売り子はぴしゃっとそういうのをシャットダウンしている。
球場では売店でもビールを売っている。本来売り子の人件費の分、安くなっていそうだが、価格は同じだ。そうでないと売り子のビールが売れないからだ。
そういうビールを飲むのもいいが、普通の店なら500円以下の生ビールを800円も出して買うのは、間抜けな感じもする。
まだるっこしいかもしれないが、売り子から買う方が良いと思う。

ビールのカップを片手に持って、もう一方に手にチケットをもって、席をうろうろ探しているお客がいるが、これも間抜けだ。ちょっとこぼして他のお客に謝ったり、間違った席について、またあたふたと立って出ていくのも、格好の良いものではない。
長い列の客席の中央当たりのお客がビールを頼むと、売り子がお願いしますと言って、端のお客にビールを託すことがある。お客は素直にそれに応じて、ビールを注文したお客に渡す。すると注文したお客はお金をわたす。仲介者はそれをそのまま売り子に渡す。ときにはお釣りがまたリレーで手渡されたりする。縁もゆかりもない人であってもこの「ビールのリレー」は、快く引き受けるものだ。間で猫ババする人も、仲介手数料を要求する人も皆無だ。私はこれを「スタジアムのジャスティス」とひそかに言っている。同じ野球を見る仲間、そしてビールを飲む仲間は、みんな同志なのだ。

さて、こうして手に入れたビールをどのように飲むべきか。私は躊躇なくぐいっと半分くらいまで飲み干すべきだと思う。勢いがつきすぎて涙目になったりするが、それくらいの勢いで飲まないと、球場に来た気がしない。
残り少ない預金通帳を気にするように、ちびちび飲んでいては、野球観戦の味わいも薄れてしまう。ま、ひとそれぞれだが、私はそう思っている。
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1972年外木場義郎、全登板成績【3度目の無安打試合達成】
コメント
コメント一覧
あれも味のうちだったのになぁ、と思いました。
家でテレビを見ながら飲むのよりスタジアムで飲むビールは圧倒的にうまいですね