球団のマーケティングでグッズを買いあさるファンのメンタルは「人に自慢する」だろう。そしてもう一つ「人と同じ格好をする」だ。
最初の「人」は、球団のファンではない一般の人だ。二つ目の「人」は、ファン仲間だ。
つまりグッズを買うことは「承認欲求」を満たすとともに、球団のファンとしての「帰属意識」も満たすことができる。

買ったレプリカユニフォームを着て、キャップを被り、応援グッズを手に持てば、自分は「何者か」になったように思う。
しかし、こういう人々で、自分から進んで独自のことをする人はあまりいない。享受者と言うか、口を開けて何かを放り込んでもらうのを待つ人が大部分だ。

ジャニオタも、宝塚の「推し」も、さらにはアニメのオタクも、99%までは、そういう受け身の人々だ。判断を球団や団体側に委ねて、自分たちは言われるがままに購買するだけだ。



マーケティング的には、これほど素晴らしいコンシューマーはいない。言われるがままに物を買い、イベントに集まり、熱狂的に応援してくれるからだ。
そもそも企業の「ブランド戦略」は「ロイヤルティ(忠誠心)が最高で、無批判なファンを作る」ことを目的としている。「球団のファン」は、究極のコンシューマーだと言える。

球団が気にするのは「ファンの購買力を考えて商品づくり」をすることだ。何万円もする商品をたくさん並べるだけではなく、ファンが買ってもらいやすい価格帯の商品も作る。また「シリーズもの」にして「連続購入」を誘引したりもする。

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長谷川晶一さんは12球団のファンクラブに10年以上も連続で入会し、各球団のサービス、商品内容を比較している。それによるとダルビッシュ有や松坂大輔などがポスティングで移籍した翌年の日本ハムや西武のファンクラブへのサービスはやはり向上しているようだ。また球団によっても方針が違うし、年によって方向性が変わることもある。

球団マーケティング、商品の企画、開発、デザインはクリエイティビティが高い。経験値も高まるし、知見は深まっていく。

しかし残念なことに「無批判に商品を買い続けるファン」の知見はほとんど深まらない。そういう人と話をしても、つまらない話しかしない。自分で何かを調べたり、知識を高めるのではなく、球団の言うままに購買行動をしてきただけだからだ。

野球と言う最高に面白いコンテンツを享受しながら「深まらない」ことの残念さ。「ほっとけ」と言われるだろうが、私には、壮大な「無駄」を垂れ流しているようにしか思えないのだ。



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