私はもともとマーケテイングの仕事をしていたので、スポーツチーム、運営会社のマーケティング戦略には大いに興味がある。
NPB球団について言えば、ファンクラブを中心とするヘビーユーザーをメインターゲットにしたリピーター戦略はすでに飽和状態にある。囲い込んだファンは年々高齢化する。新規顧客の獲得は鈍化する。ルーティンのマーケティングはマンネリ化する。その循環の中で、マーケティング担当者は奮闘しているのだ。
上位のレベルでは、リピーター戦略の限界から、新たなマーケットの開拓をより大きなスケールで始めている。その代表格が日本ハムであり、エスコンフィールド北海道だ。
いわゆるリピーター戦略では、特定の顧客に濃厚なアプローチをかけて、いろいろなものの購入を促進する。その繰り返しだ。しかし顧客に富裕層は少なく、客単価はそれほど高くない。またマーケティングには大変なコストがかかる。
新しマーケティングは、次世代の「ボールパーク構想」を前提としている。基本的に「ガチの野球ファン」は相手にしていない。球場を中心にした「リゾート空間」での半日の「滞在時間」をゆったりと過ごしたいという人たちが相手だ。ホテルのスイートのような特別室で、食事を楽しみながら「ときどき試合を観る」ような富裕層や、企業の接待に野球観戦を利用するような経営陣など。その周辺にはそこまで金持ちではないが、観光気分で野球を楽しむ「ライトユーザー」がいる。

多くの球団はそちらのマーケティングに軸足を移そうとしている。その方が将来性があると判断しているからだ。
ここまで盛り上がっていても、既存の野球ファンは確実に減少している。野球界は新たなターゲット層の開拓に躍起になっているのだ。
こうした球団のマーケティングは非常に興味深いが、私はファン=コンシューマーも、こうした球団のマーケティングに簡単に載せられないでほしいと思っている。つまらないもの、二匹目のドジョウを狙うようなものには「なんやこれ、けっ」と言うような賢さが欲しいと思う。「入れ食い状態」を常態化してしまうのでは、新たなファンが流入しない。
マーケティングが知力を尽くすのなら、ファンもそれを見極める「知力」を養ってほしい。
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ネット記事ではあのエスコン含めた周辺施設の観客動員が三百万人を超えたそうで、野球以外の目的の層も取り込むあの感覚ってコレからのスポーツビジネスに求められるセンスかもしれませんね。