ポスティングでの米大リーグ挑戦を希望する選手が続出する現状に球界OBが疑問符 「なんか勘違いしてるんじゃないか」 落合博満氏はかつて「契約金返してから言え」と提言
デイリースポーツは、神戸新聞の子会社だったが、今では吸収合併され、神戸新聞が発行している。そして編集を新たに作ったデイリースポーツ社に委託する形を取っている。
発行部数は67万部と称しているが、この数字を信じる人はいないだろう。半分くらいではないか。そもそも神戸新聞が公称40万部なのだから。

この記者は、大きな勘違いをしている。
「若手選手が猫も杓子もMLBにポスティングで移籍するのは、おかしい。行くのなら入団時の契約金を返してから行け」
という落合博満の言葉を借りているが、落合がそういったのは井川慶の時代だから、17年も前のことだ。この当時の日本との年俸格差は4倍ほどだった。
当時の感覚ではNPBの並みのレギュラークラスの選手が行っても年俸は上がらないし、そもそもMLB側も受け付けなかった。

しかし今やMLBの平均年俸は5億円を超す。4500万円そこそこの日本との格差は十数倍になっている。そして日本のとりわけ「投手」の評価は急速に上がっている。日本の10勝級の投手はNPBで十分に先発が務まる。10億くらいの年俸はすぐに手にすることができる。
野茂英雄は「任意引退」になって、MLBに挑戦したが、いまどき、球団がそんな強い態度に出ることはできない。「自由契約」になった選手がMLBに移籍されては、球団は丸損だ。ポスティングはFA前の選手がMLB移籍を希望した際に、相応のポスティングフィーを支払うと言う制度だ。MLB球団からNPB球団に支払われるポスティングフィーは少なくとも、その球団の年俸総額の3割程度、多ければ年俸総額を上回る。山本由伸もそうなるだろうが。

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ポスティングは、年俸格差が広がり、人材流出が止まらないNPB球団の「救済措置」なのだ。

そもそも「入団時の契約金を返してから行け」という言葉の裏には「育ててもらった恩を忘れやがって」という思いがあると思うが、球団は「教育機関」ではない。見どころがあると思った選手にはいろいろ教えたり、練習環境を与えるが、そうでない選手はあっさりクビにするのだ。「契約金」はそうしたリスクに対する補償だ。返す義理などあるはずもない。

古い野球人は、日本人選手のMLB移籍を「日本野球を裏切りやがって」と思っているが、より高い評価をしてくれるところでプレーがしたいと思うのは、ごく当たり前の気持ちだ。
また選手は、球団に育てられて一流になるのではなく、自分の才能と努力で出世するのだ。

経済原則からしても、人はより高収入が得られるところに移動していく。ふがいないのは、選手の実力に見合った報酬を与えることができないNPB、日本野球だ。

そんなことさえわからなくても、スポーツ紙記者は務まるわけだ。そりゃ誰も読まないわ。


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