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1日に何杯もコーヒーを飲む。またホテルなどでインタビューをするときも大体ホットコーヒーを傍らに置いて話を聞く。
そういうときは「ブラックでいいですか?」を聞かれる。
そういわれて「やだ、ミルクとお砂糖たっぷり!」とは言えないから「はい」といっている。

しかし私が仕事をするときに飲むコーヒーは、少しだけ甘みを入れることにしている。砂糖ではなく甘味料のことも多いけど。

ブラックコーヒーは刺激が強い。何杯も飲むうちに口の中が疲れてくるような気がする。

それに本当においしいコーヒーは、控えめでいいから砂糖とミルクが入っている方が、私は美味しさが伝わる気がするのだ。

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しかし、喫茶店で話をするときなど、シュガーを半分だけ入れたりすると「へっ、入れるんだ」みたいにみられているのではないか、という気がする。

ブラックで飲む方が「大人だ」「本物の味を分かっている」「通だ」みたいな印象があるように思うのだ。しかし、私は常に「それがどうした」とも思っている。

コーヒーをブラックで飲むのは、そばを食べるときに「つゆにちょっとだけそばを漬けて、一気にすすりこむ」のとよく似ている。どっちもコーヒーなり、そばなりの味が「一番わかる食べ方」だとされていて、通はそうするものだと言われている。

確かに、そばが溺死するほどつゆの中を泳がせる必要はないだろうが、そばがおいしいのはつゆと絡んでいるからだろうと思う。

いきったそば屋なんかで「まずは塩でそば本来の味わいをお楽しみください」などと言うのも聞くけど、私は「けっ」と思っている。
私は江戸っ子ではないが、江戸っ子は、そばを「食べる」とは言わずに「たぐる」と言うくらいは知っている。まるで紐か何かをたぐるように、さっと来て、ささっと食べるような食べ物だ。ファーストフードの走りのようなものだ。そばが来たら、つゆにざばっと漬けて、さっと食べてすぐに席を立つと言うものだろう。

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東京の小噺に、そばにちょっとしかつゆを漬けずにたべて粋を装っていた男が、死ぬ間際に「ああ、たった一度でいいから、そばにたっぷりつゆをつけて食べたかった」と言ったと言う話がある。

コーヒーだって同様だろう。死ぬ間際に「一度でいいからシュガーとミルクを入れてコーヒーを飲みたかった」という男がいるのではないか。

どんな食べ方をしたから粋だ、無粋だと言い募る人間が、いちばん無粋だと思っている。


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