高齢化が急加速している現状を考えれば、ゴルフがもっと流行ってもよさそうなものだが、さっぱりである。

ゴルフ放送が支持されないのは、明らかに「試合時間の長さ」だろう。朝スタートした選手が最後に帰ってくるのは午後を遥かに回っている。悠長にもほどがある競技だ。しかも「スピード感」がほどんどない。競技者が試合中は知ることはほとんどない上に、移動はカートを使うのだ。年寄り向けの所以ではあるが、若者には受けない。






日本だけの事情を考えれば、ゴルフはスポーツと言うよりは「接待」「社交場」として使われ過ぎた。
クラブハウスでは、ホテル出身のシェフが豪華な料理を出したし、サロンでゆったり喫煙するプレイヤーもいた。それどころかラウンド途中の四阿に、ビールを用意しているコースもあった。水商売の女性とラウンドするのを無上の喜びとするおっさんもたくさんいた。
最も問題なのはゴルフが「握るスポーツ」だったことだろう。ゴルフの勝敗を巡る違法賭博は、おっさんゴルファーの大きな楽しみだった。
私の父親は平社員から社長になったが、癌になって死ぬ1か月前まで打ちっぱなしに行くほどゴルフが好きだった。ずっとシングルで、ゴルフと麻雀で勝った「軍資金」が、社長室の金庫に500万円ほど残っていた。さかのぼれば、土日はずっとゴルフで家にいなかった。
だから私はゴルフが大嫌いなのかもしれない。

社会人になってからはゴルフイベントを企画したり、ゴルフ場の企画書や案内をたくさん作ったが、碌なもんじゃないと思った。
ゴルフ場造成の業者は、計画地の山林を薬剤を撒いて根こそぎ枯らしていた。バブル前のことで、今はそういうことできないだろうが、近隣住民の説明会では「この緑地は残します」と説明をして、彼らが帰ると全部引っこ抜いたりしていた。
ゴルフ場に来る連中の品の悪さ、マナーの悪さは言うまでもない。

要するに日本のゴルフは「まともなスポーツ」ではないのだ。
「いや、今はそんなことはない。健全なスポーツだ」という人もいる。そうなのかもしれないが、何十年にもわたっておっさんが踏み荒らしすぎた感がある。

ゴルフなんかしなくても、世の中には楽しいこと、面白いことがほかにもたくさんある。ゴルフに沁みついた「おっさんの手あか」を洗い流すのは大変ではないか。


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