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のりものニュース
早くも号令「国産旅客機つくります」…できるの? 国費大投入「MSJ」失敗から見る日本の“欠点”とは

これは、日本と言う国の「体質」についてうーん、と考えさせられる記事ではあった。
日本は戦前、ゼロ戦などを頂点とする戦闘機や軍用機では世界をリードしていた。
しかし敗戦後は占領国の方針で、軍事転用が可能な技術開発については制限されていた時代が続いた。
それが解禁されて、YS-11という優秀な国産旅客機の開発につながったのだ。

私はYS-11に乗ったことがある。プロペラ機と言うのはジェット機と違って、中々高度が上がらず、眼下には街並みがずーっと続いたままだったのを覚えている。ただ、安定感は素晴らしくて、ほとんど揺れなかったしランディングもスムースだった。

その後三菱製国産ジェット機「MSJ」の開発プロジェクトが立ち上がったのだが、何度も延期を繰り返した挙句に「開発断念」となった。この過程について、うんざりした思いで聞いてきたが、結局国費だけで500億、総開発費1兆円をどぶに捨てた結果となった。

この記事によれば、失敗の最大の原因として「日本の航空法と航空行政が欧米とは比較にならないほど遅れていることに起因する」と指摘している。
FAA(アメリカ連邦航空局)とEASA(欧州航空安全委員会)が合意して推進したルールが世界基準となる中、日本はこの基準をクリアするための体制を整備することができなかったのではないか?と指摘している。

とりわけ国土交通省の体制に問題があったのではないか、として、その核心には、日本の「人事制度」と「官僚の習性」があるとしている。

日本の役所では数年おきに役職が代わる。経験値を高めた行政職員が、ほんの数年で別個の部署に配置換えになる。この根底には、永年同一の部署にいると関連業者と癒着して、汚職の温床になる、という考え方がある。また、役所は「スペシャリスト」よりも「ゼネラリスト」を重んじる傾向があるため、特に高学歴の職員は、あちこちに転勤しながら役職を上がっていくのだ。
私の卑近な例で言えば、高校大学とずっと野球指導をして、野球指導者になりたくて高校の指導者になった先生が、転勤で野球部がない学校に異動することなど、よく目にしたことだ。それがきっかけで、先生をやめる例も見てきた。公立校の教師は教師個々の評価とは別に、数年おきに転勤することになっている。その制度に良い面もあるだろうが、もっと個別の事情を勘案すべきではないかと思う。

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もう一つは「日本の官僚特有の習性として責任回避の姿勢が顕著なこと」ではないか、と言っている。「いくら優秀であっても、新しい技術や制度の導入に対し、もはや「臆病」といえるほど慎重になっていると考えられる」と。
日本では公務員、行政職員は、一般のサラリーマン、ビジネスマンとは、全く異なる「人種」だ。サラリーマンも「宮仕え」ではあるが、企業は役所よりも柔軟性がある。大企業でも改革の機運が起こって、大胆な人事制度になったり、プロジェクトが組まれることがある。
しかし行政は、首長が保守であっても革新であっても、ほとんど変わらない。「責任を回避しつつ」「外見上の成功へと導く」ような、保守的で形式的な業務=お役所仕事が、沁みついている。

アメリカでは政権が民主党から共和党に代われば、国家公務員の大半が入れ替わる。高級官僚が民間のシンクタンクに移ったり、ベンチャーの役員になったり、大学教授になって、そこでもバリバリ仕事をするし、民から官になっても同様に通用するのだ。民も官も同一のプロトコルで仕事をしているのだ。

しかし日本の行政職員は、民間人とは「別人種」であり、価値観も考え方も違っている。そして行政職員の間でしか通用しない「ルール」で動いている。
結局、多くの行政職員にとっては「国産ジェット機の開発」よりも「自分たちが失敗して責任を追及されないこと」の方が大事なために、うまくいかなかったのではないか、ということだ。

なのに凝りもせずにまた国産機の開発に乗り出すのは「国威発揚」をしたい政治家たちと、予算がつけば潤う関連業界の思惑があるのだろう。

これは本当に悩ましいことではある。
結局、日本人の多くは自分の地位が安泰になると「その立場に安住し」「眠ってしまう」のだろう。

そんな風にして、ラーメンや握り飯しか他国に自慢するものがないような国になろうとしているのだ。


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