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札幌ドームの経営者の迷走を批判しているのは、主として野球サイドの見方をしている人だ。サッカーサイドの人ではないように思う。
サッカーファンの多くは「札幌ドームは、サッカーのために作られたのに、日ハムがやってきて、軒を貸して母屋を取られたようになっている、肩身の狭い思いをしている」と思っている。

そもそもサッカーと野球の兼用スタジアムと言うのは、ここ以外にはほとんどない。
札幌ドームでは、野球の試合を行うときには、人工芝をカーペットのように敷き詰める。そしてサッカーの時は人工芝をたたんで収納し、スタジアムの隣で養生した天然芝をホヴァリングシステムで移動させて使っている。
サッカーにとっても野球にとっても「専用スタジアム」でない分、試合環境としては難しくなっているが、サッカーサイドにしてみれば「野球が来なければ、こんな不自由な思いはしなくて済んだのに」と思っている。

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Jリーグのクラブは「独立採算制」が前提だが、スタジアムを巻き込んだ「指定管理者」的な大きなビジネスは想定していないことが多い。中には鹿島アントラーズやガンバ大阪など、指定管理者になっているクラブはあるが、企業規模が小さいクラブは「スタジアムを間借りする」のが前提となっている。そもそもサッカーの動員だけで、スタジアムの採算が立つとは考えられていない。クラブはスタジアムとは別個に地域密着型のビジネスモデルで、採算を取ろうとしている。

日本ハムは、札幌ドームに「球団を指定管理者にせよ」と迫ったが、そのときのコンサドーレ札幌をどうするか、ということは熟慮されていなかったと思われる。
DeNAのように、野球だけでなくバスケや陸上など他の競技も含めて「スポーツ事業部」としてビジネスを展開している球団もあるが、日ハムの場合、セレッソ大阪が同じ系列とはいえ、コンサドーレとコラボしたり、アライアンスを組むことは想定外だったはずだ。

このために「日ハムは自分たちを指定管理者にして、コンサドーレを追い出そうとしている」という風評が立った。日ハム側としては、コンサドーレの処遇は、指定管理者になってから考えるつもりだったようだが、それが反発を呼んでいる。

サッカーファンからは「日本ハムなどプロ野球は、金儲けばかり考えている」という批判の声があるが、およそ野球であれ、サッカーであれ「金儲け第一」でないプロスポーツチームなど、ありえない。ビジネスモデルが違うだけで、「営利企業」という基本的なスタンスは同じだ。

コンサドーレ札幌にしてみれば「日ハムが出ていったために、札幌ドームの屋台骨が揺らいでいる」と、日ハムに対して批判的な目を向ける部分も多い。
日ハムに言わせれば「コンサドーレは、ファイターズに寄りかかって、集客などを真剣に考えなかった」となるのだろう。

札幌ドームでは、野球、サッカーというビジネスモデルの相違が、ファンを巻き込む形で「対立の構図」になったと言えよう。


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