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今回の衆議院選挙は、従来の「政治の常識」「選挙の常識」が通用しないことが結構あった。
まず「投票率」、投票率が低いと与党、既存政党、に有利と言われてきた。浮動層は「雨だ」「寒い」「イベントがある」となれば投票しないが、岩盤の自民支持の老人、宗教の信者などは雨が降ろうが風が吹こうが、絶対に選挙に行くから、投票率が下がれば与党に有利と言われていた。
今回の選挙は53.85%と前回選挙を2ポイント以上下回り、戦後3番目の低さだった。普通なら自民、公明に有利になるはずが、与党は惨敗した。

これは自民支持層が選挙に行かず、浮動層、とりわけ18歳で選挙権を得たような若い有権者が選挙に行ったからだろう。
自民支持層が選挙に行かなかった理由は複雑だ。安倍晋三支持の自民右派は、石破の「裏金バッシング」で安倍派の議員が多く非公認など冷遇されたので、選挙に行く気が失せたのだろう。
もう1つは「裏金」「統一教会」に愛想が尽きたということもある。

もう1つ。「選挙報道が投票に影響した」ということ。自民党はもとより劣勢で、それは岸田文雄時代からそうだったが、選挙の告示後の2つの報道が、自民、公明に大きなダメージを与えた。
1つは、自民から公認を得られなかった候補者に、公明党が「推薦」を与えたこと。自公は各地で選挙協力をしているが、自分たちが自民に協力してもらうために、裏金議員などを支援せざるを得なかった。しかしこの報道に対して「何だよ、裏金制裁は形だけかよ」とか「公明って勝つためなら自民の言うことなんでも聞くんだ」と思った有権者がたくさんいて、自公の得票が減ったのだ。
もう1つは、自民党が、裏金議員が支部長を務める支部にも2000万円を配っていたこと。石破茂は「支部に支給したのであり、候補者ではない」と言ったが、その言い訳は通用せず、これも「なーんだ、制裁は形だけかよ」という印象を与えた。

少し前まで、全国各地には「政治通」みたいなおじさんがたくさんいて「自民党でなくては日本はダメなんだ」「与党に任せとけばいいんだ」としたり顔で言ってきた。
そういう大人は、自民党のこの手の小細工にも「理解あるところ」を見せてきた。しかし、今回の有権者は明らかに「違う反応をした」のだ。

これは新鮮な驚きだ。自民党、年寄りが「こんなもんだ」「これでいいんだ」とずるずると認めてきたことを「おかしい」と思う有権者が確実に育っていて、しかも選挙に行ったのだ。
18歳から選挙権ができたことで、若者の政治参加が進んだのだろう。リテラシーが高いと思う。

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日本維新の会が不振だったのも「革新のはずが既得権すり寄り」「万博ごり押し」などが、有権者に敏感に察知されたからだろう。

一方で、れいわ新選組、参政党や保守党などが党勢を伸ばしたのも「新しい有権者」によるものだろう。SNSやネットしか見ない若い有権者は、これらの「実現できるかどうかは別として、分かりやすく思い切った主張をする」小政党に入れたのだろう。都知事選で石丸伸二に入れたのと同じような票ではないか。

自民党は選挙で負けると無所属議員を追加公認したり、野党と連携したり「多数派工作」で党勢を盛り返そうとしてきたが、今の有権者は、そういう動きも「政治なんてこんなもんだ」とは思わない。
だから、石破政権は慎重になっている。

石破茂は、森山裕幹事長に首根っこを押さえられ、言いたいことを言わずに選挙に突入して惨敗したが、本来の彼の主張、空気を読まず思ったことをずけずけ言うやり方を押し通していれば、ここまで負けなかったはずだ。
石破政権は惨敗したが、おごりたかぶって世間から反感を買っていた安倍晋三一派を自民主流から振り落とすことには成功したのだ。

既得権益の上に座る利権集団には気を遣わず、本当にやりたい政治をするなら、石破は新しい有権者の支持を得るのではないか。




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