彼は1974年、大阪東住吉出身の文世光に狙撃され、夫人が死亡した。この時期の鶴橋には文世光を英雄視する民団系の落書きと、非難する総連系の落書きがあちこちに書かれていて、騒然としていた。文世光は、絞首刑になったが、その5年後に朴正煕はKCIAによって暗殺されるのだ。

その後、やはり軍人出身の全斗煥・盧泰愚政権を経て、1990年ころに民主化した。しかし韓国の民主主義は、その基盤となる「民主主義教育」が十分でなかったから、常に不安定で、左右に大きく振れた。

それに隣国であり、同朋の国北朝鮮や、日本との関係も、揺れていた。

今の大統領の尹錫悦は、韓国では「保守」とされる。保守とは親アメリカ、親日であり、北朝鮮とは距離を置く姿勢を言う。

その前文在寅は「革新」で、日本に対して極めて厳しい姿勢で臨むとともに、北朝鮮に融和的だった。
ちょうど日本は安倍晋三政権で、韓国、中国に対して極めて敵対的だったから、文在演時代の日韓関係は最悪だった。

この時期、私は韓国で野球をよく見たが、韓国に住む日本人からは「盛り場には近寄らないように」と言われた。そういうところには、日本人とみると喧嘩を吹っ掛けるような人がいたのだ。
また、電車の中吊りには安倍晋三を非難する広告が掲示されていて、気味が悪かった。




今の尹政権は、日本にとっては戦後最高パートナーなのだが、保守であれ、革新であれ、韓国の政治体制は、民主主義国と言いながら、その実、権力者が変わるとその類縁者や派閥の人間が、猟官活動を行ったり、便宜供与を求めたりする。その結果として、常にスキャンダルにまみれる。それを政敵が暴きたてるという図式がずっと続いている。

今の尹政権は、そもそも「親日」ということで、国民に人気がない。日本叩きは、韓国の人々にとっては「国民的憂さ晴らし」だったから、それに消極的な政権はもともと不人気なのだ。

その上に尹大統領夫人は「スキャンダルの塊」という感じの人物で、その不自然な容貌もあって、国民の評価も二分していた。

今回の「戒厳令」は、少数与党に加えて支持率の低さの中で、尹大統領の進退が極まったためではあるが、民主主義の底が浅いお隣の国では、ここから暴動、非民主的な権力奪取が起こる可能性がある。

元はと言えば、35年に及ぶ日本の植民地時代に、韓国の人々にまともな教育を施さなかった大日本帝国の統治に責任があると思うが、極めて危うい国家なのだ。

中国、北朝鮮、ロシアとおかしな国が、さらにおかしくなる中で、右左どちらの体制になるにしても、日本とまともに交渉ができる政権であってほしいと思う。





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