
今年の夏に、公立高校の野球部監督を中心に「7回制の是非」について話を聞いて回った。「普通の野球部」の指導者の多くは「まあ、いいんじゃないの」という感じだった。
もともと公立高校の選手数は、減少している。今では9人ぎりぎりのところも多い。そういうチームでは9回の試合をやるのは精いっぱいというところも多いので、7回制は「とにかく子供が楽になる」ということで、歓迎する声が多かった。「夏でなくてもずっと7回でやった方がいい」という意見も多い。
また、強い相手とやるときには、人数が少ないチーム、あまり鍛えていないチームは終盤崩れることが多い。エースも8回、9回に失点することが多い。
「7回までなら実力が上のチームでも何とか戦える」という声もあった。
そもそも中学以下では「7回制」のところも多く、7回制の試合の経験がある選手も多いのだ。
しかし一方で野球は9人、3アウト、3ストライクと「3の倍数」でできたスポーツだ。「9回制」は、そういう意味でも尊重したいと言う意見があった。
強豪校では「9回」を主張する指導者が多い。
1つは「球数制限」があるなか、有力校は複数の投手を作っている。7回制になると救援投手、「勝利の方程式」の投手の出場機会が減る。それに控え選手の起用も減ってしまう。
そしてそれ以上に問題視するのは「上のレベルに行った時に困る」
ということだ。

強豪校の選手の大部分は、大学、社会人で野球を続ける。独立リーグやプロ野球に行く選手もいる。こうした「上のレベル」はすべて9回制だ。
特に投手は、9回制なら先発は完投と言わないまでも、7回までを想定して力の配分をする。しかし7回制が定着すれば、5回までで投球の組み立てをする。これが当たり前になってしまうと、9回制になったときにギャップを感じてしまう。
また7回制に慣れると、9回制では野手であっても、終盤に息切れすることが大きくなる。
これまで、高校野球と上の野球には「バットのギャップ」があった。金属バットを振り回していた高校生は、しっかり芯で捉えないと飛ばない木製バットに戸惑い、調子を落としてしまうのだ。
これは、日本高野連が金属バットの規定を変更したことで、ある程度解消されるはずだが、これに代わって「イニング数のギャップ」ができてくるということだ。
この議論は、しっかりすべきだろう。
昼も言ったが「日本の夏がこれからもっと暑くなることはあっても、涼しくなることは考えられない」のだ。トランプは石油をどんどん掘って化石燃料を使いまくると言っているから、世界の夏は「生きているのがやっと」みたいになってくる。
「真夏に野球をすること」が、7回制でも苦しくなる時期がすぐに来るはずだ。
「だったら5回制」みたいな議論は、ナンセンスだろう。
それよりも「高校野球シーズンを変える」あるいは「ドーム球場や涼しい地域にする」ような改革がより抜本的で、大事だと思う。
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コメント
コメント一覧
それ以後の、所謂強豪校や勢いのあるチームが揃ってからは、正規の90分となっているわけで、結果的に"棲み分け"が出来ているのかもしれません。
もっとも、選手がプレーしやすい冬の大会であり、特にJリーグ発足以後は選手権以外にもチームや大会が増えて、選手の出場機会も増えているなか、このままでいいのかなという気もしますが。
青少年向けの野球の場合、まずは競技人口を増やす意味でも、様々は形態の大会方式(開催の日程や場所の変更も含む)多様化を考えるべきなんでしょうが、そこまで余裕はないのかもしれません。