
Jリーグは発足時に「プロ野球を反面教師」にした。プロ野球で問題があると思える部分については、Jリーグは「マネしないでおこう」と思ったのだ。
NPBの「コミッショナー」は「最高権力者」ということになっていたが、非常勤で単なる「お飾り」だった。Jリーグは「こういう役職はいらない」として「チェアマン」を設けた。チェアマンとは「議長」という意味だが、リーグ、運営陣を取りまとめて、最終決裁を行うリーダーだ。Jリーグは、チェアマン以下、リーグ機構のトップダウンで多くの決断をしてきた。
同時にJリーグは入場者、観客を「ファン」ではなく「サポーター」と呼ぶことにした。これは、観客を単なる「顧客」ではなく、クラブ、選手を励まし、サポートする存在だとしたのだ。
ファンは単にお金を払って試合を見て、選手に声援を送るだけの存在、単なる「お客」だ。選手のプレーやチームの采配、球団の運営を称賛したり、ブーイングしたりするが、選手、球団はこれに対応する義務はない。「お客」であるファンは、球団の運営に口をさしはさむことはできない。
気に入らなければ「ファンをやめる」ことしかできない。
ファンと球団の関係に線引きをしたのは「私設応援団」が球団の運営に口出しをしたり、観客席をめぐって勝手に商売をしたり、暴力団と癒着して他のお客を恫喝したりしたからだ。
NPBでは2006年から球団を通じて日本野球機構に登録を申請し、許可を受けた私設応援団のみが活動できるようにした。
つまり、プロ野球のファンは「NPBに管理される存在」になった。ファンが球団に口出しすることはあり得ない。
NPB球団は経営情報を一切開示していないが「その必要はない」という解釈だ。
上沢の移籍をめぐって日本ハムのファンが文句を言っているが、球団がこれに対応することはあり得ない。

これに対し、Jリーグのサポーターは、お客であるとともに、Jリーグの支援者であり、その運営に関与し、利害を共有する「ステークホルダー」だ。もちろん、ステークホルダーの中ではステイタスは最下位で、実態は「お客」に他ならないが、形式上ステークホルダーとすることで、NPBとファンの関係とはかなり違ってきている。
Jリーグ各クラブの経営状況は、Jリーグ公式サイトに公開されている。経営状態は丸裸になっている。このために各クラブの経営状況が露呈し、サポーターの批判の対象になっている。
また、クラブが大きな決断をするときには、必ずサポーターの前で「発表」「説明」をする。
形式上の「ステークホルダー」であっても、Jリーグ、クラブは「気を使わざるを得ない」わけだ。
お客を「ファン」ではなく「サポーター」とすることはリーグ、クラブにとって「功罪半ばする」もといえる。
「ディスクロージャー」することで、Jリーグの運営はNPBよりはるかに健全ではある。親会社があるクラブも金銭のやり取りが明らかになるのは良いことではあろう。ガバナンスの所在も明確になっている。
しかし「サポーター」は、まともな人間だけではない。クラブや選手に難癖をつけたり、誹謗中傷するろくでもない人間も混ざっている。今のJリーグは、個別に「出禁」にすることはできても、こうした「ならず者」的なサポーターの集団を排除することは、建前上できない。そういうデメリットもあるということだ。
当サイトにも「サッカーではこうだ」というコメントをする人がいるが、JリーグとNPBの構造上の違いを認識してコメントすべきだろう。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
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同時にJリーグは入場者、観客を「ファン」ではなく「サポーター」と呼ぶことにした。これは、観客を単なる「顧客」ではなく、クラブ、選手を励まし、サポートする存在だとしたのだ。
ファンは単にお金を払って試合を見て、選手に声援を送るだけの存在、単なる「お客」だ。選手のプレーやチームの采配、球団の運営を称賛したり、ブーイングしたりするが、選手、球団はこれに対応する義務はない。「お客」であるファンは、球団の運営に口をさしはさむことはできない。
気に入らなければ「ファンをやめる」ことしかできない。
ファンと球団の関係に線引きをしたのは「私設応援団」が球団の運営に口出しをしたり、観客席をめぐって勝手に商売をしたり、暴力団と癒着して他のお客を恫喝したりしたからだ。
NPBでは2006年から球団を通じて日本野球機構に登録を申請し、許可を受けた私設応援団のみが活動できるようにした。
つまり、プロ野球のファンは「NPBに管理される存在」になった。ファンが球団に口出しすることはあり得ない。
NPB球団は経営情報を一切開示していないが「その必要はない」という解釈だ。
上沢の移籍をめぐって日本ハムのファンが文句を言っているが、球団がこれに対応することはあり得ない。

これに対し、Jリーグのサポーターは、お客であるとともに、Jリーグの支援者であり、その運営に関与し、利害を共有する「ステークホルダー」だ。もちろん、ステークホルダーの中ではステイタスは最下位で、実態は「お客」に他ならないが、形式上ステークホルダーとすることで、NPBとファンの関係とはかなり違ってきている。
Jリーグ各クラブの経営状況は、Jリーグ公式サイトに公開されている。経営状態は丸裸になっている。このために各クラブの経営状況が露呈し、サポーターの批判の対象になっている。
また、クラブが大きな決断をするときには、必ずサポーターの前で「発表」「説明」をする。
形式上の「ステークホルダー」であっても、Jリーグ、クラブは「気を使わざるを得ない」わけだ。
お客を「ファン」ではなく「サポーター」とすることはリーグ、クラブにとって「功罪半ばする」もといえる。
「ディスクロージャー」することで、Jリーグの運営はNPBよりはるかに健全ではある。親会社があるクラブも金銭のやり取りが明らかになるのは良いことではあろう。ガバナンスの所在も明確になっている。
しかし「サポーター」は、まともな人間だけではない。クラブや選手に難癖をつけたり、誹謗中傷するろくでもない人間も混ざっている。今のJリーグは、個別に「出禁」にすることはできても、こうした「ならず者」的なサポーターの集団を排除することは、建前上できない。そういうデメリットもあるということだ。
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コメント
コメント一覧
https://www.jfc.go.jp/n/finance/social/tokushuu16.html
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球団、クラブは営利企業ですが…
Jリーグクラブは経営手法に「非営利組織の経営」の考え方を取り入れているという意味です。
プロ野球も「公共財である」と規定されていますから、公共性という点ではJリーグクラブと変わらないと思いますが。
この本で論じられている「非営利組織」というのは株式会社とかNPO法人とかの組織形態ではなくて、ざっくりいうと利潤を上げる以上に大事な「ミッション」を持っている組織のことになります。
ネットに要約があったのでリンクを貼っておきます。
https://d-lab.management/?p=13952
つづきます
まだ説明不足だとは思いますが、コメント欄に書き込む内容としては文字数が足りなさ過ぎましたね。
失礼しました。
Jリーグクラブは「Jリーグ100年構想」を共有していると言う意味では、公共性を意識していると思います。でも非営利組織では断じてありません。
ただ、今のまともな企業はスポーツに限らず、利潤追求と社会貢献やSDGS追及を両立させることになっています。
別にJリーグクラブだけではないでしょう。
よく取材に行きますが、NPB球団もほとんどが地域貢献活動をしています、環境保全にも貢献しています。
日本では以前は大人のスポーツ選手の活躍の場が企業スポーツしかなく、Jリーグも元々企業スポーツだったのが後から地域密着を掲げユースも作ったので、なかなか日本人にはピンと来ないでしょうが、欧州では元々スポーツクラブは都市国家の地元民や政治家が中心で設立した物で、昔の移籍のルールが無い時代は本当に「選手=地元民」でした。
プロ競技が整備され、所属するプロ選手は地元出身は少数となった現代においても「クラブは地元民の物」「企業はスポンサー=支援者」と言う考えが定着しているのです。(それがフーリガンの様な暴力的な客も寄ってくる理由なのも事実です)
ですのでJリーグは「プロ野球を反面教師」にしたと言うのもありますが「日本人に馴染みの薄かった欧州型(サッカー型)の運営を紹介、定着させる」と言う目的もありました。サポーターという呼称にはそこの違いを強調したかったと言う理由もあるでしょう。