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「教育の多様化」とともに、高校教育の在り方もどんどん変わりつつある。

通信制高校も、そうした「多様化」によって、大きく変わりつつある。
もともと通信制高校は、経済的困窮などによって中卒で勤労せざるを得ない若者に、通信教育で教育の機会を与えるものだった。従来は郵送された教材でやり取りする形式で、年に何回か学校に出向いて授業を受ける程度だったが、今は、ZOOMなどリモートで授業を受ける形式になっている。

また学生も少し前は中卒勤労者が多かったが、今は何らかの事情で不登校になった若者が対象になっている。「学びの機会を与える」という意味では大いに有意義だと思う。

カリキュラムは柔軟で、時間的にも場所的も自由に教育を受けることができるから、拘束時間は小さくなり、生徒はより自由に学ぶことができる。

しかし、最近は一般の高校に比べて、設備投資や教職員の雇用などが小規模でも設立できるという通信制の特性に目をつけて、ベンチャー企業などの参入が相次いでいる。

また、生徒も、中卒勤労者ではなく、不登校、さらには「勉強はしたくないが、高卒資格は取りたい」「勉強以外のことに打ち込みたい」など多様なニーズを持つ若者を受け入れるようになっている。

そのこと自身は悪いことではないが、この学校のシステムは、まだまだ未整備で懸念材料も多い。

一つは「学力」。果たして通信制教育で、十分な高校教育を提供することができているのか?ZOOMなど一方的な授業で大丈夫なのか?高卒の学力を提供できるのか?

もう一つは勉強以外の「教育の質」。学校と「塾」の最大の違いは「勉強」以外の部分にある。教室での教師やクラスメイトとの交流、集団生活。学校行事などなど、多くの日本人が経験してきた「学校教育」の多くの部分がそぎ落とされる可能性がある。
こうした集団生活によって醸成される「連帯意識」「同質感」には賛否あるが、多くの日本人が共有してきた「学校体験」を共有しないまま大人になる可能性がある。

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新しい通信教育は、まだ未完成な部分が多いと思うが、そうした学校が、各地の高野連に加盟を認められ、甲子園につながる公式戦に出場するようになった。従来の通信制高校は通信制軟式野球連盟に加盟していたが、今は、高野連に加盟するのが普通になっている。

そして2012年に長野県の「地球環境高等学校」が春の甲子園に初出場。2016年には北海道の「クラーク記念国際高校」が夏の甲子園に初出場。クラーク国際は22年春、23年春夏にも出場。
そして「エナジックスポーツ高等学院」の今春の甲子園出場が決まった。

高校野球人口が減少する中で、通信制高校の加盟は、各地の高野連にとって歓迎すべきことかもしれないが、もう少し「教育の実態」を調べる必要があるのではないか。

私は今の高校野球の「プロアマ規定」や「商業主義」はもうやめるべきだと思っているが、それは通信制高校などの加盟によって「なし崩し的」に廃止されるのではなく、明確な「ルール変更」によるべきだ。

通信制高校は、果たして高校なのか?「なんでもあり」のカリキュラムは、教育なのか?
その部分も含めて、検討が必要ではないか。




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