
大関豊昇龍の横綱昇進は、大相撲の体制を維持するという意味で「最後のチャンス」だったといえる。
1951年以降の昇進横綱の、昇進3場所前の成績。昇進してもおかしくない成績を挙げながら昇進できなかったケースも上げる

大相撲の横綱昇進の規定は「大関で2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」ということになっている。
2場所連続優勝なら文句なし。●がそれだ。この場合、議論の余地なく昇進が決まる。
問題は「それに準ずる成績」だ。直近場所の優勝+準優勝、または同等の好成績ということになるが、その解釈が難しい。
1974年5月、北の湖は関脇で優勝、大関に昇進して10勝、続いて優勝し、3場所合計では37勝したが、3場所前は関脇だったから、議論は起こらなかった。
しかし2021年、照ノ富士は3場所前は関脇で、大関昇格後2場所連続優勝していないにも関わらず横綱に昇進した。
横綱昇進問題で、大きなトラウマとなったのが、1986年9月の双羽黒だ。双羽黒は、61年11月の柏戸、78年7月の二代目若乃花、9月の三重ノ海に続いて4人目の「3場所優勝無し」で横綱になった。
将来に期待してのことだったが、双羽黒は横綱に昇進してから師匠立浪と反目し、優勝のないまま廃業してしまった。
この事件以降、横綱審議会は「甘い基準で横綱を造ってはいけない」という認識を抱くようになり慎重になった。
その最大の被害者が二代目貴乃花だ。貴乃花は93年、94年と大関で横綱に昇進してもおかしくない成績を挙げながら昇進を見送られた。
2012年までに昇進した力士は、すべて「二場所連続優勝」を経て、横綱に昇進している。
しかしそれ以後の昇進は「大甘の基準」に戻っている。
今の相撲協会は「大関で二場所連続」を待っていては、横綱は絶えてしまうと考え始めているのだ。
横綱審議会は相撲協会からの諮問があって初めて昇進を審議する。相撲協会は豊昇龍の昇進を諮問した。横綱審議会も現在の相撲界の状況を理解しているから、横綱に推挙せざるを得なかったのだ。
すでに照ノ富士の昇進も「大甘」だったから、これは今の流れだろう。
前も言ったが、今の大相撲は「星の貸し借りなし」の「完全ガチンコ」が前提になっている。また力士は「巨大化」したために、何らかの疾患を持っている。上位に挙がってもコンディションを維持するのが難しくなっている。
幕内力士の実力は拮抗し、勝ったり負けたりが続いている。連覇するような力士は非常に出にくくなっている。
照ノ富士の引退が決まる中、豊昇龍を昇進させなければ、今後数年、横綱が空位になる恐れがある。下手をすれば、横綱が絶えてしまう。
そういう危機感もあって「最後のチャンス」として豊昇龍を昇進させたのだ。彼がどこまで「横綱の責任」を果たすかは大いに疑問だ。
大相撲人気は上々だが、未来は暗い。

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大相撲の横綱昇進の規定は「大関で2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」ということになっている。
2場所連続優勝なら文句なし。●がそれだ。この場合、議論の余地なく昇進が決まる。
問題は「それに準ずる成績」だ。直近場所の優勝+準優勝、または同等の好成績ということになるが、その解釈が難しい。
1974年5月、北の湖は関脇で優勝、大関に昇進して10勝、続いて優勝し、3場所合計では37勝したが、3場所前は関脇だったから、議論は起こらなかった。
しかし2021年、照ノ富士は3場所前は関脇で、大関昇格後2場所連続優勝していないにも関わらず横綱に昇進した。
横綱昇進問題で、大きなトラウマとなったのが、1986年9月の双羽黒だ。双羽黒は、61年11月の柏戸、78年7月の二代目若乃花、9月の三重ノ海に続いて4人目の「3場所優勝無し」で横綱になった。
将来に期待してのことだったが、双羽黒は横綱に昇進してから師匠立浪と反目し、優勝のないまま廃業してしまった。
この事件以降、横綱審議会は「甘い基準で横綱を造ってはいけない」という認識を抱くようになり慎重になった。
その最大の被害者が二代目貴乃花だ。貴乃花は93年、94年と大関で横綱に昇進してもおかしくない成績を挙げながら昇進を見送られた。
2012年までに昇進した力士は、すべて「二場所連続優勝」を経て、横綱に昇進している。
しかしそれ以後の昇進は「大甘の基準」に戻っている。
今の相撲協会は「大関で二場所連続」を待っていては、横綱は絶えてしまうと考え始めているのだ。
横綱審議会は相撲協会からの諮問があって初めて昇進を審議する。相撲協会は豊昇龍の昇進を諮問した。横綱審議会も現在の相撲界の状況を理解しているから、横綱に推挙せざるを得なかったのだ。
すでに照ノ富士の昇進も「大甘」だったから、これは今の流れだろう。
前も言ったが、今の大相撲は「星の貸し借りなし」の「完全ガチンコ」が前提になっている。また力士は「巨大化」したために、何らかの疾患を持っている。上位に挙がってもコンディションを維持するのが難しくなっている。
幕内力士の実力は拮抗し、勝ったり負けたりが続いている。連覇するような力士は非常に出にくくなっている。
照ノ富士の引退が決まる中、豊昇龍を昇進させなければ、今後数年、横綱が空位になる恐れがある。下手をすれば、横綱が絶えてしまう。
そういう危機感もあって「最後のチャンス」として豊昇龍を昇進させたのだ。彼がどこまで「横綱の責任」を果たすかは大いに疑問だ。
大相撲人気は上々だが、未来は暗い。

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コメント
コメント一覧
身長200センチ体重130キロ体脂肪率15%みたいなタイプが出てくればもしかしたら、って感じでしょうか?
謎の元郡民さん
「身長200センチ体重130キロ体脂肪率15%みたいなタイプ」僕もそういうタイプの太り過ぎではない筋肉質の力士が出てくればいいのにと、際限ない大型化が進んでしまった大相撲を見ていて思います。上記のようなタイプで更に顔も整った〝令和の明武谷〟みたいな力士が出てくれば大ブームになるのではないかと。
入門者の大幅減少などで、相撲協会も危機感を表明していますが、保守的な体質で発想の転換がなかなか難しそうです。