7103B0prkML._SY425_


私はもう十分ジジイだから、人生は、世の中はそうそううまくいかないことは知っている。
元プロ野球選手の取材をすることも多いが、大半は「うまく行かなかった」物語だ。
一時的に活躍しても、最後は「こんなはずじゃない」と思いつつも、自分と周囲の期待を裏切るような成績を続けて引退する。
人生というものも「上り調子」一本のはずはないのであって、必ず陰りが見えて、落ち込んでいく時が来る。だからこそ、人間は「可愛い」のだ。自分の「限界」を知るときに、人は謙虚になれるし、他者に対するリスペクトの気持ちもできてくる。
トランプのように80歳近くになって「人の弱さ」を理解できない人間は、本当に愚かだと思うが。

それはさておき、一度下り坂に陥った選手の「再起」は、本当に難しい。若いころは「できた」ことができなくなる。それだけではなく、周囲の「期待感」もいつの間にか「失望」「諦め」へと変化していく。

今年37歳、昭和最後の世代である田中将大は、今、そういう状況に差し掛かっている。久保コーチの「魔改造」で、V字回復すると言う期待もなくはないが、球速が上がらないのを見て「そりゃ無理だ」みたいな声もある。
しかし、峠を過ぎて坂道を下る一方と思われた人間の「再起」は、多くの人々の気持ちを奮い立たせる。境遇は違えど「ベテラン」という年齢になって、会社の役職を外されたり、重要なプロジェクトのメンバーに呼ばれなくなって「俺なんて、もう落ち目だ」みたいに思っているおじさん世代にとって、田中の「再生の物語」は、他人事ではなく、勇気づけられるはずだ。自分のポテンシャルはまだまだ捨てたもんじゃない、と思える人も多いはずだ。

IMG_2722


そして今年36歳、平成最初の世代である菅野智之は、まだ全盛期のうちにMLB挑戦を志した。しかし伯父の原辰徳監督に引き留められて、一度はあきらめた。成績も落ち込んで、このままエンディングを迎えるかと思えたが、かつての相棒が監督になった昨年、奇跡ともいうべき復活を見せてチーム優勝の立役者になりMVPに選ばれた。そして再度MLB挑戦を申し出てFA移籍を認められたのだ。
例えるなら、創業家に生まれたやり手のビジネスマンが、会社を出てベンチャー企業を創立しようとして引き止められたものの、あきらめきれずに、会社を立て直したうえで、再度会社を出る決意をしたと言う感じか。
彼は、一度目のMLB挑戦を止められたときに「大志の炎」を消していなかったのだ。そして雌伏の時代を経て、誰にも文句を付けられない「実績」を残して、再び「夢」に挑んだわけだ。
菅野もすでに全盛期の球速はなくなっているが、その代わり「経験」という得難い武器を身に着けている。「ベテランの味」がMLBでも通用するのか、これも実に見ものだ。

Sugano


野球選手の「寿命」は短い。「生涯上り調子」みたいに見える大谷翔平だって、数年先にはピークを迎えるだろう。実は「それから」の方が面白いのだ。

二人の「再起の物語」に期待したい




私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!

81UUCLO+nDL._SY466_

https://amzn.to/47hJdhC

2023年森原康平、全登板成績

NOWAR