
今、アメリカで、日本で起こっている政治の世界、そして世の中の「異常事態」には、いろいろな背景があるだろうが、その一つに「ネット社会の進展」にともなう「情報享受の民主化」みたいな話があると思う。
ネットがなくて、新聞、雑誌、書籍、そしてテレビ、ラジオみたいな「オールドメディア」だけの時代、世の中には「社会の動き」「政治」に全く無関心の人がたくさんいた。
大学時代の話だが、バイトでトラックに乗っていて、ラジオで「大平正芳総理大臣急死」のニュースが突如飛び込んできた。私とバイト仲間の2人は耳をそばだててニュースを聞こうとしたが、トラックの運転手は「競馬中継」にカーラジオのチャンネルを切ってしまった。昭和の昔は、そういう人がたくさんいたのだ。
オールドメディアは、概ね大卒以上のレベルに合わせて情報発信をする。専門用語も使うし、慎重で持って回った言い方をする。しかし、政治にせよ社会問題にせよ、事情は複雑なので、それは仕方ないはずだが、そうしたニュースは、ある種の人々、リテラシーの低い人の耳にはほとんど入ってこなかった。

ネット以前の世の中を回していたのは、エリートとまではいわないが、ある程度のリテラシーを持った人々だった。
しかしネット社会になって、ほぼすべての人々がスマホを通じて、世界中のあらゆる情報が手軽に享受できるようになると、政治や社会問題に知識も関心もない人でさえも、そういうニュースに関心を持つようになった。
オールドメディアは相変わらず小難しいことを言うが、ネット社会の進展とともに、どんな人々の耳にも飛び込みやすい情報発信をする人が出て来た。
そうした情報は「わかりやすい」が、物事を単純化しすぎている。また、決めつけが多い。そして意図的に「フェイクニュース」を流す人も混じっている。
そういう情報に飛びつき、陰謀論や、極論を信じる人がたくさん出てきたために、世の中は非常に混とんとし始めている。
これまでオールドメディアのニュースに見向きもしなかった、あるいは聞いても理解できなかったような人が、SNSの極論を信じるようになってきたのだ。
この間の兵庫県知事選で「立花孝志さんの街頭演説を聞いて、やっと真実が理解できた」というおばちゃんがいた。
こうした現象が怖いのは、そういうリテラシーが低い人でも「有権者」であり、すべての人と同様「参政権」をもっているということだ。当たり前の話だが。
今の、政治のニューカマーは、左派右派問わず、既存の、古いタイプの有権者にアピールするのではなく、これまで政治参加していなかった「無党派層」にアプローチしている。彼らは、極論であっても疑うことなく話を聞く。言い方は悪いが「騙しやすい」のだ。そして無党派層は、今の日本では圧倒的な「最大勢力」だ。
この間、参政党の支持者と話をした。
「参政党の政策のどんなところがいいの?」と聞くと
「よくわからないけど、新しいことをしてくれそうだし、今の世の中をよくしてくれそうだから」と言った。
「よくわからないけど」という言葉は、本当に怖いと思う。よくわからない人が、よくわからないままに、世の中をどんどん変えていく。
アメリカなどは、よくわからない有権者が、よくわからない大統領を選んだためにすさまじいことになっている。
今日、トランプは「教育省を廃止する」大統領令に署名したが、彼にとってはリテラシーが高い有権者が増えるのは好ましくないのだ。
こうした動き、どこかで止まらないのかと思う。よくわからない未来は、本当に恐怖でしかない。
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オールドメディアは、概ね大卒以上のレベルに合わせて情報発信をする。専門用語も使うし、慎重で持って回った言い方をする。しかし、政治にせよ社会問題にせよ、事情は複雑なので、それは仕方ないはずだが、そうしたニュースは、ある種の人々、リテラシーの低い人の耳にはほとんど入ってこなかった。

ネット以前の世の中を回していたのは、エリートとまではいわないが、ある程度のリテラシーを持った人々だった。
しかしネット社会になって、ほぼすべての人々がスマホを通じて、世界中のあらゆる情報が手軽に享受できるようになると、政治や社会問題に知識も関心もない人でさえも、そういうニュースに関心を持つようになった。
オールドメディアは相変わらず小難しいことを言うが、ネット社会の進展とともに、どんな人々の耳にも飛び込みやすい情報発信をする人が出て来た。
そうした情報は「わかりやすい」が、物事を単純化しすぎている。また、決めつけが多い。そして意図的に「フェイクニュース」を流す人も混じっている。
そういう情報に飛びつき、陰謀論や、極論を信じる人がたくさん出てきたために、世の中は非常に混とんとし始めている。
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「よくわからないけど」という言葉は、本当に怖いと思う。よくわからない人が、よくわからないままに、世の中をどんどん変えていく。
アメリカなどは、よくわからない有権者が、よくわからない大統領を選んだためにすさまじいことになっている。
今日、トランプは「教育省を廃止する」大統領令に署名したが、彼にとってはリテラシーが高い有権者が増えるのは好ましくないのだ。
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コメント
コメント一覧
これ、ここ最近特にそう思います。インターネットが普及してだれでも発信側になれるようになったことの弊害なんでしょうね。
今の若い世代が、こういう安直な感覚に毒されないことを切に願います。若い世代の世界観は、「他人からどれだけたくさん注目されるか」「他人をどうコスパ良く説得するか」ということに囚われ過ぎているような気がします。
世の中や人間はそもそも複雑なもので、一つの切り口だけで理解するなんておこがましいにも程があるわけですが、そういう“謙虚な”世界観が一定程度ないと社会は間違いなく荒廃します。
良い意味でも、悪い意味でも、良識のある人々は発言を控えています。発言をして絡まれることを煩わしいと感じているからです。
民主主義って声が大きい人が正しいって事ではないと思っていましたが、そうなっちゃったのかなあ。