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米田哲也の惨状を見るにつけ、少し前までの野球界の「至らなさ」を痛感する。
もともとプロ野球界には、年金制度があった。

一、二軍在籍10年以上在籍すれば、55歳から年額120万円が支給された。選手の掛け金とNPBの拠出で資産を運用した。1964年に導入されたが、2011年に破綻した。

その後、NPBは2016年に「支配下10年以上選手養老補助制度」を導入。支配下登録10年以上の元選手に対し、55歳時と60歳時に補助金として各50万円の一時金をNPBから支払うとした。

さらに日本プロ野球選手会は「退団共済制度」を設け、一口10万円で50口まで積み立て可能な共催も設けている。

しかしそうした引退後の補償は、MLBに比べれば雀の涙だ。

プロ野球選手のキャリアは短い。引退すれば、一瞬にして職と報酬を失う。

その時のために「用意する」のは、当然だ。
しかし、多くの野球選手にとって「セカンドキャリア」は考えたくもない話ではある。

去年、私は選手の資産運用を担う会社の取材をした。東洋経済オンラインの記事にしたが、
その会社の社長の
「プロ野球では、年俸が高い選手ほど、ずっとそれが続くと思っている方が多いんですね。特に若くして年俸が上がった選手はこれからも年俸が上がり続けると思っているので、今あるお金がなくなることに対する不安感がすごく低いなと思います」
という言葉が印象的だった。

しかし、すべての選手は引退する日がやってくる。引退しても生活レベルが下がらないのは、ほんの一握りのスター選手だけだ。多くの選手は、経済環境が激変する。

引退した選手の進路は

1.プロ野球界に残る
2.アマ球界に進む
3.その他

の3つだ。1は勝手知ったる業界だけに最も希望者が多いが、コーチ、スタッフは12球団合わせても500人程度、しかも多くは球団の正社員ではなく年契約で、立場は不安定だ。だめなら独立リーグという手もあるがこの指導者はさらに年俸が安く、立場も不安定だ。

アマ球界への転身は「資格回復制度」によって門戸はぐっと広がった。学校の場合は教員免許を取得して、教員になることが身分の安定のためにも望ましいが、高卒選手にとっては高いハードルだ。
また、野球競技人口の減少に伴い、アマ指導者の道も難しくなっている。

その他の中には「野球関連」と「それ以外」がある。中学部活のアウトソーシング化にともない、元プロ選手の中には「野球塾」をやり、部活アウトソーシングの指導者になるものもいる。有望かもしれないが、経済的には不安定だ。

そして「それ以外」とは純粋に「ただの人」になって、野球以外の道で食うことだ。

社会的な常識からビジネススキルをつけるまで、文字通り「リスキリング」が必要だが、そのためには最低限の学力と「学ぶ姿勢」が求められる。

野球以外に何もしてこなかった選手にとっては、高いハードルとなる。最近はYoutuberみたいな収入源もあるが、これとて「人様に見せられる」何かがなければ難しい。

米田哲也は1977年に引退している。「プロ野球年金」の支払いを1993年から受けていたはずだ。この時期には、すでに経済的には苦しくなっていたはずだから、年額140万円でも助かったとは思うが、彼も野球以外に何もない一人で、スナック経営に手を出していたから、年金は雀の涙だっただろう。

以後、指導者の道が途絶え、スナック経営も破綻し、マンションも差し押さえられ、今は安アパートに夫人とともに逼塞していたという。

「野球だけしていればいい」「何も考えずに上の言うことを聞いていればいい」という「昔の指導」では、野球選手に真っ当な人生を歩ませることは難しいのだ。

そのことを考えても「野球馬鹿養成所」的な学校、チームは、なくしていかなければならない。

graundo





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