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ドナルド・トランプを賛美する日本の識者には一定の傾向がある。
橋下徹
トランプを推している理由を聞かれて
「大好きです。政治家として、言ったことについてものすごい批判があったとしても実行するから」

古市憲寿
兵庫県知事に関して
「手続き的な正当性というのは凄い民主主義においては大事だと思うんですけど、一方では、世界的にはトランプ大統領とか、人格的に問題がありそうだけれども、そういうことより早く改革を進めてほしいみたいな意見って世界的に強くなっている気がするんですね。だから正しさと改革を進めるスピード感のどっちを優先するかってことを兵庫県の方がどう思うかですよね」

トランプのディールとは、日本流の「三方よし」みたいな円満な商取引ではない。恫喝したり、不正確な言辞を弄したりして相手を脅し、騙し、すかして利得を得ようと言うものだ。

だから猛批判を浴びるのだが、橋下や古市は、どんな批判があろうと「やるべきことをやる方がいい」と言っているのだ。

民主主義とは「プロセス」を重視する考え方だが、二人のように「ごちゃごちゃ言わずに結果を出せよ」みたいな風潮が最近強くなっている。
これは新自由主義的というか、ポピュリズムというか、政治とは、自分とその賛同者のための利得をできるだけ早く、効率的に得る手法だ、というような考え方だ。

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しかしながら、今のドナルド・トランプのディールは、橋下徹が絶賛するほどうまくいっていない。

この手のディールは、少なくとも今の世界政治ではスタンダードではない。トランプや、プーチン、習近平など権威主義的な政治家は、自国民に平気でうそをつくし、いい加減なことを言うが、日本も含めて世界の「まともな国」の政治家は、自分の発言に責任を持っている。相手を動かすために、虚言を弄したり、大げさなことを言ったりはしない。どんな相手に対しても、誠実に向き合う。それがルールだからだ。

もちろん、それは、すべて本音で包み隠さず言うことを意味しているわけではない。言うべきことをスルーしたり、重要なことを些事のように言ったり、そうしたテクニックは当然使うが、フェイクをさも本当のようにひけらかしたりはしない。

なぜそうかと言えば、そういう言辞を弄する人間は「信用を失う」からだ。いくら相手を動かしたいからと言って、虚言を吐けば、相手は信用しなくなる。人間関係で最もベーシックな「信頼関係」は、嘘を言わないことで成り立っているのだ。

つい先日、トランプはすべての自動車の輸入関税を25%にすると言った。4月2日には発動すると。しかし、ここからトランプは「関税の緩和」をちらつかせて、個別の国と「ディール」をしようとするはずだ。橋下徹に言わせれば「見事なテクニック」となるのかもしれないが、そういうちゃちな商売をしていると、信用を失う。

トランプが大統領に就任して3カ月だが、この間にアメリカは、世界の「まともな国」からの信用を大きく損なった。トランプはなおも、無茶苦茶な政策をぶち上げるだろうが、世界の国々は次第にトランプの言うことをまともに取り合おうとしなくなるはずだ。
トランプはモンローのような「孤立主義」を目指しているのかもしれないが、その意図に沿っているかどうかは知らないが、トランプの言動によって、結果的にアメリカ全体がさらに「信用失墜」して「孤立」するのは間違いない。

ウクライナ戦争でも、ガザ地区の紛争の収拾でも、トランプがぶち上げたプランは全く進展していない。命をかけた戦いをしている当事者に、嘘塗れの安物「ディール」を仕掛けても効果などないのだ。

トランプのように「ウソをついても結果オーライな世界」とは、結局、世界が他国を信用せず、戦争状態にある世界ということになるのだろう。

橋下徹、古市憲寿、さらにはホリエモンや立花孝志などは「そういう世界の到来」を待ち望んでいるように思うが、それは多くのまともな人々が求める世界とは、かなり違っていると思う。




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