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私は2年前の8月に、こんなブログを書いている。
戸郷翔征は「御礼奉公のやりすぎ」でつぶれるのではないか?

この年の巨人は、原辰徳監督の最終年だったが、エースの戸郷に異様な球数を投げさせた。戸郷が自ら志願して140球投げたこともあった。

戸郷の投手成績を特に球数に焦点を当ててみてみよう。NPは球数。PAP(Pitcher Abuse Point)は1登板当たりの投球数に基づく酷使度の指標。

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戸郷は聖心ウルスラ学園高から2018年、ドラフト6位で根尾昂、藤原恭大、小園海斗、吉田輝星らと同世代で同じドラフトだが、はるかに地味な存在だった。

しかし1年目にファームで4勝1敗、ERA3.00という成績を挙げ、この年巨人監督に返り咲いた原辰徳は、戸郷を先発に抜擢、翌年からローテーションに組み入れた。1年目は107.2回を投げて9勝6敗、以後、4年連続で規定投球回数に達した。

注目すべきはNPとPAPだ。
PAPは。1試合で投げた球数から100を引いてそれを3乗したもの。これを毎試合加算する。この数値の合計がシーズンで10万を超えれば故障の可能性が高く、20万を超えればいつ故障してもおかしくないとされる。100球以下の試合はカウントしない。

すでにMLBではこの数値は使われない。登板間隔や投球強度を考慮していないし、その後の研究で投球と故障の相関関係は、はるかに詳細にわかってきたからだ。
そもそもPAPが10万を超す投手は、2019年にトレバー・バウアーが117138を出して以来、出ていない。

しかしNPBでは「球数」への認識がはるかに緩いので、PAPが20万を超す投手は毎年出た。戸郷は2022年に20万超え、そして23年には12球団で断トツ1位の40万をオーバーした。

戸郷は2021年から2500球以上の球数を投げているが、PAPの数字は大きく変化している。表の右側には120球、130球、140球投げた試合数を掲げたが、2021年は120球代が4試合だったのに対し、22年は120球3試合、、130球4試合、23年は120球4試合、130球1試合、140球3試合になった。140球投げれば、1試合でもPAPは64000にもなる。23年は原監督の最終年だった。
24年に就任した阿部慎之助監督も戸郷をエースとして起用したが、この年、菅野が復活したこともあり、酷使の度合いは軽減された。

しかし酷使された肩や肘は、そのまま温存しても自然治癒することはない。とくに肘の靱帯は損傷するとパフォーマンスに深刻な影響を与える。

戸郷の最高球速は152㎞/h前後だが、今季はまだ150㎞/h超の球は投げていない。原因はいろいろ考えられるが、右肘の靱帯が伸びて、力が十分に伝わっていない可能性がある。

数年間も続いた酷使の付けがここへきて回った可能性がある。

戸郷は2023年のWBC出場以降、MLBへの挑戦を口にしているが、その夢がここで絶たれる可能性があるだろう。

昨日の阿部慎之助監督は「懲罰的」に打ちまくられた戸郷を106球も投げさせたというが、彼は努力が足りなくて打ち込まれたわけではない。いいパフォーマンスをしたくても、できなくなっている可能性が高い。

肘の損傷であれば、PRP療法など温存療法もあるが、トミー・ジョン手術の可能性もあるだろう。

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Note


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