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千葉ロッテの話でも、Jリーグのスタジアム建設の話でも、計画が持ち上がると「税金を使って特定のプロスポーツのための施設を作るのか?」という批判が上がる。
こうした批判の背景にあるのは、戦前から続く「スポーツ=たかが遊び」という蔑視の感情だ。
戦前、スポーツは一部の大人からは「遊び」「道楽」とされ、それを見せて金を取るプロスポーツは「芸人みたいなもの」と思われていた。軍部を中心としたこういう批判をかわすために、飛田穂洲などは「屈強な兵士を作るのに、野球は役立つ」という理屈を作り上げたのだ。

戦後、スポーツは「教育の一環」とはなったが、それでもプロスポーツは「遊び」というイメージが強く、アマチュアスポーツに比べれば下に見られていた。
端的に言えば、日本人の中には「スポーツみたいな遊びは、やるべきことをやってからやれや」という意識があったのだ。
このあたり、この本が説得性があった。

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高校、大学野球や社会人野球などは「やるべきこと=勉強、仕事、をやっているからOK」だが、プロ野球は「やるべきことをやっていないからアウト」みたいに思う人が、今も一定数いるのだ。
しかもそういう連中たるや、試合を見せて金を取っている。商売をしている。

「そういう連中のために、税金を使って球場を作るのはけしからん!」というりくつだ。

彼らが次に言うのは
「プロ専用の施設なんかよりも、スポーツをしたい市民のための施設を作れ」だ。

これもっともらしいように思うかもしれないが、市民がスポーツをするための施設を作っても採算が取れない。球場や体育館の使用料など微々たるものだ。それでは施設は維持できない。

だからプロスポーツを誘致し、スタジアムを建てて、採算の取れるようなビジネスにするわけだ。
そして「市民がスポーツできないじゃないか」という連中は、実際の現場を見ていない。

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プロスポーツ施設を作るときには、周辺に様々なスポーツ施設を作る。この施設は市民も使える。またプロが使っていない時期にはスタジアムをアマチュアに開放している。

例えば千葉マリンスタジアムは、高校野球地方大会のメッカでもある。千葉ロッテが来なかったら、高校生はこんな立派な球場で野球をすることなどできなかったのだ。

千葉ロッテだけでなく、新しい球場の計画が持ち上がると、またこうした「わからずや」の声が上がるだろうが、頭の痛いことだと思う。





Note


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