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今年も「夏の甲子園」を巡って、さまざまな「いい話」がふんだんに発信された。
新聞記者はデスクから「感動話をとってこい」と言われていると言う。
だから、選手やその周辺を根掘り葉掘り聞きまわることになる。
何十人も選手が入れば、片親が死んだり、兄弟が病気だったり、家に不幸があったりする家もある。
記者はそういうのを見つけると、獲物に飛びつくようにして話を聞いて記事にするわけだ。
「親が死んだのに、兄弟が病気なのに、家が焼けたのに、洪水で流されたのに、それにめげずに野球に打ち込む選手たち」
ワンパターンだが、世間の人たちは、まるでスイーツを賞味するように飛びつくのだ。
恐らくそのスイーツにかかっているのは「人の不幸という名の蜜」なのだと思うが。

今夏、私は北海道と沖縄で、甲子園に出られなかった3年生選手の話を20人くらい聞いたが、こういう場合、野球そのものの話と将来の話しか聞かない。家のことを根掘り葉掘り聞くのは適切ではないし、その必要もない。
中で一人、昨年の能登の大地震で学校が被災した選手については、その事について聞いたが、それは「野球に関係があった」からだ。
野球の記事を書くときには、関係のないことは聞かない。それが矜持みたいなものだが。

「美談」は「美談」であるが上に、しょーむない、つまらない、面白くない。
「人を感動させよう」というあざとさが見えた時点で、興ざめである。

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最近の新聞やテレビは「世情のアラで飯を食う」芸人みたいなメディアに成り下がっている。
問題の核心に迫るような記事は、できるだけ書かないようにしている。叩かれるのが怖いから。
そして
「お前の意見はどうなんだ」「お前はどう思うんだ」
みたいな問いかけもスルーして
「それよりも、もっといい話があるんですよ。泣けますよ」
と安い「美談」をいっぱい書くわけだ。

こういうことばかりするから「オールドメディアは」と言われるわけだ。




Note


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