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戦争の定義は、為政者が勝手に作るものだから何とでもいえるのだろう。
しかし、昨日のベネズエラ侵攻、マドゥロ大統領の拘束、拉致は、アメリカ国民にも強烈なインパクトを与えたはずだ。

過去にも、アメリカは他国を攻撃して、指導者を逮捕したり、殺害したことはある。
1989年、当時のブッシュ(父)大統領は、パナマが米への麻薬の一大供給国になっていることを理由に、パナマに侵攻。実質的な独裁者だったパナマ軍のマヌエル・ノリエガ司令官を逮捕し、アメリカに連行した。もともとノリエガは親米派で、キューバやニカラグアと左派政権に圧力をかけるなどしていた。また米の麻薬撲滅対策に協力していた。
しかし、その裏でノリエガは、米に対して麻薬を横流ししていた。
メンツをつぶされたアメリカは、レーガン政権の時代から、ノリエガ政権転覆のためにパナマの内政に干渉したが、うまくいかず、ブッシュ(父)の時代になって、軍事侵攻してノリエガを逮捕し、政権を転覆させたわけだ。

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また、イラク戦争も、ブッシュ(子)が、イラクが大量破壊兵器を蔵匿していると非難。9.11同時テロ後に、イラクに侵攻、イラクのフセイン政権は崩壊し、サダム・フセインは捉えられ裁判に掛けられ処刑されたが、イラクは大量破壊兵器を蔵匿していないことが明らかになった。(修正)

共和党政権で起こった、二つの戦争には、大きな問題があったが、パナマ、イラクともに紛争が勃発するなど周辺に差し迫った危機が迫っていた。これに対してアメリカは「世界の警察」としての役割を果たしたと言ってよかった。

しかし、今回のベネズエラは、他国を侵略しようとしていない。マドゥロ大統領は独裁者で、ベネズエラは治安が悪化していたのは事実だが、国民の一定程度の支持は得ていた。
ベネズエラは左派独裁政権で、親米の各国との関係は悪化していたが、紛争状態にはなっていなかった。また南米の大国ブラジルとの関係は良好だった。

トランプはベネズエラを合成麻薬「フェンタニル」をアメリカに密輸しているとして、輸送船を爆撃したりしていたが、実際には「フェンタニル」の供給国はメキシコだとされる。トランプは根拠のない主張でベネズエラに侵攻して、一国の指導者を拉致したわけだ。

トランプは「世界の警察」をやめると公言している。その上での軍事侵攻は、石油大国であるベネズエラを直接支配下に置くことを意図している。

またベネズエラの反体制指導者であるマリア・コリナ・マチャドが昨年のノーベル平和賞をうけたことも、トランプは強く意識していただろう。
マチャドをベネズエラの政権トップに据えることで、トランプは、自身のノーベル平和賞受賞の可能性が高まると考えたのかもしれない。
トランプの支持率は急落し、今年11月の中間選挙はこのままいけば厳しい状況になるとされるが、その挽回策だったのかもしれない。

しかしトランプが行ったことは「国際法違反」であり、「力による現状変更」をおこなったと言うべき蛮行だ。要するにロシアと同じレベルの蛮行だ。

私利私欲に走って、あまりにも物事を簡単に考えすぎる、このアメリカの指導者は、世界を混乱のるつぼに叩きこもうとしている。

日本のトランプ支持者たちは「前の大統領時代、トランプさんは、一度も戦争を起こさなかった」と言ったが、今の事態をどう考えるのだろうか。





Note


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高代延博

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