
ほんの1年半前、まだバイデンが大統領のころなら、ハンガリーの大統領選挙で、アメリカがオルバン首相を支持することなどありえなかった。そもそもまともな国家として、他国の選挙に干渉することなど考えられなかったのだが。
ハンガリーは、1989年までハンガリー共産党の一党独裁による親ソ政権が続いていたが、この年にソ連が崩壊したことで、民主主義的な国家になった。様々な改革を推進して1999年にはNATO、2004年にはEUに加盟し、晴れて「西側諸国」の一員になった。
しかしプーチン政権はハンガリーを勢力下におくために内政干渉を繰り返し、2010年にできた第二次オルバン政権は、次第に権力集中を図りロシアよりの色を強めた。
もともとオルバンは、ハンガリーの民主化のために立ち上がった若手政治家の一人で、国民の信任が厚かった。98年からの第一次政権ではNATO、EU加盟を推進した。

しかし第二次政権では権力の集中を図り、露骨な親ロ的な政策を推進した。彼は変節したのだ。コロナ禍で権力集中を加速させたといわれる。
さらにドナルド・トランプとも接近し、ポピュリストとしてハンガリーを専制国家に変貌させた。
2022年にウクライナ戦争が始まると、EUで唯一、ロシア側に立ち、EUのウクライナ支援をたびたび妨害した。
しかし国家としてのハンガリーはEUの一員として自由主義経済の恩恵を被っているし、NATOの一員としてロシアの脅威に対峙している。国民の多くは「ヨーロッパの一員」という意識を持っている。
ロシアの露骨な選挙干渉がなければ、この政権は維持できなかったのではないか。
今回の総選挙の直前に、ハンガリー与党の政治家がEUの情報をロシア側に漏洩していたことが明らかになり、オルバンは窮地に立った。
このオルバン政権を外部から支援したのが、ロシア、中国、そして今回はアメリカだった。バンス副大統領がハンガリーを訪問してアメリカのオルバン政権支持をアピールした。
しかし選挙で、オルバンの与党は大敗した。結局、ハンガリーの国民は、自国がロシアのような国家に変貌することを望まなかったのだ。ウクライナにとっては久々の朗報だろう。
今回のハンガリー総選挙では、最新の世界情勢では、ロシア、中国に加えてアメリカが「専制主義国家」の仲間入りをしたことが浮き彫りになった。今や世界は「三大専制国家」の時代だ。
もちろんアメリカは今も自由主義経済の中心で、民主主義や言論の自由もあるし、アメリカンスポーツも盛んだが、この国の中枢は、プーチンのロシアや習近平の中国とあまり変わらない、というかむしろ、トランプの昨今のイラン戦争での、混乱ぶりを見ると、ロシア、中国よりもひどい独裁国家になりつつあるようだ。
ハンガリーの人たちは、今、半狂乱のトランプのアメリカがオルバンを支持したことで、かえってオルバンを見切ったのではないかと思う。


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ロシアの露骨な選挙干渉がなければ、この政権は維持できなかったのではないか。
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