一昨日の試合で恐縮だが、甲子園での阪神対日本ハム戦、9回表の福原忍の投球に引き込まれた。結果から言えば、彼は26球を投げて1失点。救援に失敗したのだが、その闘志あふれるマウンドは、勝ち負けを超えていた。
もともと無表情で投げる投手だが、ここ数年色あせたような投球が続いていた。しかし救援投手に転向して2年目の昨年、久々にERAが2.59と回復し、気力が戻ってきたように思えた。シーズンオフにはMLB挑戦のうわさも出たが、心境の変化もあったのだろう。
今季もこの時点で16試合に投げてERA0.56。

1-2とリードされた9回表の登板。

fukuhara20120516




陽岱鋼は高めに伸びる速球で追い込んで、最後は外角にずばっと投げ込んで見逃し三振。続く代打ホフパワーは打ち取ったが人のいないところに球が落ちて安打。鶴岡はエンドランで右翼に流し打って1,3塁。

ここで、二岡智宏が出てきた。

二岡と福原は小学校から高校までの同級生。エースの座を争った仲だ。今は、ともに主役の座を降りて渋いわき役となっている。リーグを異にし、滅多に対戦することはない。

「代打の時の二岡の集中力はすごいんですよ」

朝日放送系の解説は岩本勉と吉田義男。岩本は因縁の対決を盛り上げるコメント。

確かに福原のギアが上がったような感じがした。初球、内角高めの動く球を二岡はファウル。二球目、高めに大きく外れた球を二岡は空振り。まるで江夏豊のようなダイナミックフォームで投げ込む福原に気圧されたようだ。そして三球目、球速は136km/hに過ぎなかったが、同じ球筋の球を二岡はまた空振りした。藤川ばりの伸びる球だった。この球を続けて投げさせた捕手藤井彰も素晴らしい。

二死になったが糸井嘉男。今、最も球が見えている打者の一人。その糸井が福原のホップする速球に空振りするのだ。1-2と追い込まれる。しかしここから糸井はじっくりと球を見ていく。臭い球はことごとくファウルする。速球にもカーブにもついていく。カットする技術の高さ。
スカイA+の大熊忠義は「これが常時試合に出ている糸井と二岡の違い」と解説。
10球目。鋭く落ちるカーブにもバットが止まる。粘りに粘って糸井が歩く。

満塁。すかさず大柄な藪コーチがマウンドへ。福原の背中をぱしんと叩く。

岩本勉「(次打者の)初球ですね」
吉田義男「そうやね、初球やね」

果たして、小谷野は、例の打つ気を全く見せない眠たそうな表情から一転、外側の速球をカチンと合わせて右前打。走者をかえした。

福原は狙ってくるとわかっていて速球をストライクゾーンに投げた。そしてその球を小谷野は引き付けて弾き返した。一幕の心理劇を見るようだった。

岩本勉はかゆいところに手が届きすぎて、かゆくないところまで掻きむしるような、騒がしい解説者だが、ポイントは見逃さない。良い解説者だと思う。

この試合をじっくりと楽しむことが出来たのは、日本ハムファンが非常に少なくて日ハムの攻撃中、球場が静まり返っていたからだ。テレビを通しても、球を受けるミットの音がしっかり聞こえる。

こうした局面局面でのドラマは、毎日の試合でいくつも生まれているに違いない。プロ野球はやっぱり面白い。

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