率直に言えば、今の楽天の打線で絶好調の杉内を打ち崩すのは至難のことではあった。14三振が意味するものは、「力負け」だ。しかしながら、田中と対戦した巨人打線もあきれるような打撃を繰り返した。
sugiuchi-Mar20120530




杉内は小さく動く速球とスライダーをどんどんストライクゾーンに投げ込んでくる。楽天の各打者は、バットに当てるのが精いっぱいという感じだった。時折投げるチェンジアップも効果的。速球では打者はほとんど振り遅れていたし、スライダーには目がついていかなかった。

昨年、杉内は楽天戦、11回を投げて11被安打4四球7自責点と打ち込まれていたのだが、それは体調が万全でなかったからだ。

今季初対戦では、リベンジする気もあったのだろう。

フェルナンデス、牧田、松井稼頭央、嶋と中心選手がいない全員7番打者フラットの様な打線に、杉内は拍子抜けするような気持で投げたのではないか。

私がそれ以上に驚いたのは、巨人打線である。一順目、1番から8番までの打者が田中将大に投げさせた球数は13球に過ぎないのだ。

恐らく原監督、コーチ陣が「ファーストストライクを狙っていけ」と指示を出しているのだと思うが、立ち上がりにコントロールが不安定になりがちな先発投手にとって、これほど楽な打線はない。何しろ一順目で一番粘ったのは投手の杉内なのだ。

二順目もこの調子。三順目になって「球を見ていけ」という指示になっていると思うが、二度の打席でほとんど田中の球を見ていないから、残像が残っていない。

7回、村田修一が9球粘った後に阿部が安打を打ち、高橋の一発が決勝点となったが、これがなかったら0-0の引き分けになっただろう。田中将大は、8回を投げてわずか84球。見逃しのボールはたったの15球だ。

8回まで投げた田中に、巨人各打者が投げさせた球数。長野(4打席)11球、以下3打席、藤村8球、坂本7球、村田15球、阿部8球、高橋8球、谷6球、ボウカー7球、杉内14球。これほどの戦力を誇りながら、巨人が圧勝できない原因の一つはおそらくこれだ。

「積極打法」と「淡白」は同義語ではない。打者は投手に1球でも多く投げさせる努力をしなければ、活路はない。
予言めいたことを言うが、急上昇中の巨人は、今後必ず調子を落として低迷する時期があるだろう。打線頼み、個々の打者頼みで、投手を苦しめることを考えていないからだ。打者の調子が落ちれば、成績も急落するだろう。

最後まで打たれる気配のないままに投げ続けた杉内は、9回2死から四球を出して完全試合を逸した。最後の打者聖澤の粘りは素晴らしかったが、時すでに遅しという感じだった。

今朝、小倉智昭キャスターは「プロ野球は面白くない」と言ったそうだが、面白くなくしているのは統一球、審判のジャッジよりも、打者の努力不足が一番だと思う。

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