「お前が書いたことと同じようなことを、雑誌・書籍出版協会が言っている」
と知人が教えてくれた。朝日新聞の記事。
プロ野球・読売巨人軍の新人契約金に関する朝日新聞の報道をめぐり、日本雑誌協会と日本書籍出版協会は31日、「巨人軍は、司法の力を借りて取材源を割り出すなどという挙に出た。巨大メディアである読売新聞グループの一員であり、メディアの自殺行為だ」と批判する意見を表明した。



たぶん、読売新聞、巨人は恥ずかしい抗議をするな!|野球報道のことをいっているのだろう。我が意を得たり、というより、むしろ他のメディアからここまで「取材源の秘匿」について何の意見も出なかったことに、違和感を持つ。そんなのジャーナリズムの常識だ、と思っていたからだ。

ただ、今回の雑誌・書籍出版協会の対応が異例なのは、事件の当事者である出版社ワック(清武英利氏が書いた渡邊恒雄氏批判本『巨魁』の出版元)が、雑誌・書籍出版協会に属していないこと。反対に読売グループは協会の一員である(両協会には読売傘下の中央公論新社が会員になっている)。

雑誌・書籍出版協会は、協会員の権利を守るために発言したのではなく、言論界全体に対して危機を抱いて意見を表明したのだ。

これまでの行動パターンからすると、渡邉恒雄氏は、中央公論新社を両協会から脱退させるのではないか。

最近の動きを整理しておこう。

5月26日 巨人、清武氏が内部資料をワックに持ち込んだことが判明したとし、資料引渡しの仮処分を東京地裁に申請し認められる。民事執行。
桃井社長 「「球団代表だった者が外部に流出させた疑いが極めて高い」


5月26日 清武氏「陥れようというのが明らか。でっち上げ。とことん抵抗する」

5月29日 桃井社長 「ワックから確保した資料を調べた。朝日新聞が報じた裏契約記事は、清武氏が持ち出したものであることは、間違いない」
巨人は、清武氏が球団支給の携帯電話で、ワック社長に36回、朝日記者に7回電話していたことも明かす。


5月30日 朝日新聞、事実に反する記述で本社や本社記者の名誉を著しく損なったなどとする抗議書を読売新聞社に送る。

5月31日 朝日新聞社の「報道と人権委員会」、巨人軍契約金問題を審理

要するにこの間、讀賣、巨人は「清武英利氏が内部資料を持ち出した」ことを躍起になって証明しようとしていた。これに対し、雑誌・書籍出版協会は、「それは言論人として恥ずかしいことだよ」と言っているのだ。

ここからわかるのは、讀賣、巨人が、言論機関としては、かなり変わった組織だということだ。
記者諸氏は、こんな会社で記事を書くのは楽しいだろうか。スクープをしたとしても、相手から「取材源を明かせ」と言われた時に、讀賣は「取材源の秘匿はジャーナリズムの原則」と胸を張って言えるのだろうか。

争点が矮小化されている。大きくずれている。

NPBの発展に不可欠な新人獲得コストの軽減、戦力均衡へ向けての議論には全く至っていない。
契約金の多寡と、清武氏への「不忠者」批判が、話題になってしまっている。どうでもいい話だ。

朝日、讀賣ともに、この争いはさっさと終わらせて、NPBのドラフト制度の問題について、建設的な意見を戦わせてほしい。まあ、無理か。

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